表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生魔導王は、底辺職の黒魔術士が、実は最強職だと知っている  作者: 銀翼のぞみ
一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/99

21話 旅立ち

 夜――


「わ〜い! ふかふかで気持ちいいわ〜!」


「こんなの初めてです〜!」


 宿屋へと帰ってくると、リリスとフェリスがベッドの上でぴょんぴょんと跳ねまわる。


 そういえば、ギルドの酒場で果実水を飲んだ時も、ずいぶんと喜んでいた。

 樹海や迷宮で暮らしていた二人にとって、人間の生活や作り出したものの数々は新鮮に見えるのだろう。


「リリスちゃん、フェリスちゃん、寝る前にお風呂に入ってしまいましょうね〜」


「お風呂?」


「アイリスさん、何ですかそれは?」


「そうですね……温かい水浴びと言えば伝わるでしょうか……?」


 そんなアイリスの言葉を聞き、リリスとフェリスが「温かい水浴び!?」「何だか面白そうです〜!」と興奮した声を上げる。


「それじゃあ、お風呂場へ行きましょう」


「「は〜い!」」


 アイリスに連れられ、リリスとフェリスが部屋に備え付けられた浴室へと移動する。


「はあ……」


 三人を見送ると、ティオが大きく息を吐きながらベッドに座り込む。

 迷宮での戦闘に続き。リリスとフェリスに甘えられ放題だったので。少し疲れを覚えたのだ。


「うふふっ……お疲れ様、マスター」


 いつものように妖艶な笑みを浮かべながら、グラスを手に、ベルゼビュートが隣に寄り添ってくる。


 グラスの中身は先ほど帰り道で買った白葡萄酒だ。

 どうやら疲れた様子のティオを、労ってくれるらしい。


「ああ、ありがとう、ベル」


 グラスを受け取りながら、ティオが小さく笑う。

 漆黒のドレスを纏った絶世の金髪美女に、気遣ってもらえるのだから、ティオだって悪い気はしない。


「いいのよ、マスターのために働くのが使い魔の役目だし、それに、こうやって体が触れていると、マスターの魔力が心地いいわ」


 気持ちよさそうに瞳を細め、ベルゼビュートがさらに体をくっつけてくる。


 純粋なティオからすれば、やはり恥ずかしい。

 しかしそれと同時に、妖艶でいて、どこか優しさを感じさせるベルゼビュートの微笑みと、彼女から伝わってくる温もりに、少しの安心感を覚える。


「うふふっ、マスターの眠そうな顔、とっても可愛いわ♡ 今日はこのまま寝てしまいましょうか……?」


 気づけばうつらうつらとし始めたティオを見て、ベルゼビュートは小さく笑うと、彼の手からグラスを受け取り、そのまま寝かしつけるように一緒にベッドに横になる。


 今日の出来事……というよりは、ここ数日間の疲れが溜まっていたのもあるのだろう。

 ベルゼビュートの抱擁の中、ティオはすぐに眠りに落ちていく――


 ◆


「な、何だこれは……」


 翌早朝――


 陽の光の差し込む部屋の中で、ティオが目覚める。


 右にはベルゼビュート。そして左ではアイリスが、それぞれティオの腕を胸の中に抱き込み、密着している。

 さらにティオの腹の上ではリリスとフェリスとが寝そべり、「すぴーすぴー」と寝息を立てている。


 美少女エルフに、美女魔王(仮)、それに美少女妖精たちに密着され、身動きを取ることができない。


(まぁ、いいか。起こさないであげよう)


 全身に伝わる彼女たちの柔らかな感触に、ドキッとするも、それぞれの気持ちよさそうな寝顔に、ティオは微笑みを浮かべると、そのまま自分も再び瞳を閉じるのだった。


 ◆


 数刻後――


「う〜ん、流石に五人で乗るのは無理があるかな……?」


 朝食を済ませ、グラッドストーンを旅立ったティオたち。


 街道を少し行ったところで、《ブラックサモン・械》を使用し、ベヒーモスを呼び出したところで、ティオが難しい顔を浮かべる。


 手のひらサイズのリリスはともかく、人間の子どもサイズのフェリスが加わったので、乗り切れなくなってしまったのだ。


【む……? それなら心配するな、ティオ殿】


「ん? どういうこと、ベヒーモス?」


【まぁ、見ておれ】


 ティオの質問に答えるとともに、ベヒーモスが漆黒の霧に包まれた。

 それが霧散すると、ベヒーモスの横に連結した車輪付きの、少し広めの乗り込むスペースが現れたではないか。


「ベヒーモス、これは……?」


【異界でサイドカーと呼ばれるものだ。これなら全員乗れるであろう】


「まさかこんな機能もあるなんて、すごいな」


 ティオの言葉に、ベヒーモスが得意げな声色で【くくくく……っ】と笑う。

 褒められたのが少々嬉しかったようだ。


「ベルゼビュートさん、今日は私の番ですからね?」


「く……っ、魔王たるこの私がサイドカーに乗り込む羽目になるなんて」


 代わりばんこのルールは今だに守られているようだ。


 余裕の笑みを浮かべるアイリスに、悔しげな表情をしながら、ベルゼビュートがフェリスを抱っこしてサイドカーに乗り込む。

 妖艶でクールなキャラかと思いきや、小さな子どもの面倒を見ることもできるようだ。


 ベルゼビュートに抱っこされ、フェリスが「わ〜いです〜!」とはしゃいでいる。


「私はティオの肩の上がいいわ〜!」


 そう言って、ベヒーモスに跨ったティオの肩に、リリスが座る。

 頭の上か、肩の上が、彼女の定位置となったようだ。


「それでは、失礼します。ティオ様♡」


 甘い声で言いながら、ティオの後ろに座るアイリス。

 そのままティオの腰に手を回し、密着すると、彼の頬に自分の頬をすりすりと擦りつけてくる。


「ぐぬぬぬっ!」


 またもや悔しげな声を漏らすベルゼビュート。


 そんな皆の様子に苦笑すると、ティオは目的に向けて、ベヒーモスのエンジン音を鳴らし、発進する――


【読者の皆様へ】


下にスクロールすると、作品に評価をつける【☆☆☆☆☆】という項目があります。


お楽しみいただけましたら、どうか応援していただけると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ