状況
ここで通常は拍手喝采が送られる所なのだろうが、会場は静寂に包まれていた。高揚感を失った俺としてはヤバイといった感想しか思い浮かばない。
俺は冷や汗を垂らしながら舞台から去った。一般席へと戻りながら俺は考える。やらかしたなと。まだそれかい!と思われるかもしれないが、考えれば考えるほどマズイ状況だ。
これは黙っておいてくれと学校に言われていたことだったからである。イジメの対象になりやすくなるのはもちろん、魔法が使えない俺でも主席を取れるほどの実力があるのを周知させたくないためだ。
もちろん、ただの一般人が二等とはいえ魔法士育成学園の入学者の中で一番の力をぽっとつけるわけではない。一般人は、わずかに魔法を使えるようにはなり、生活がちょっと便利になるくらいだ。
じゃあなぜ、俺が主席を取れたのか。
それは『X粒子の保有量』はトップクラスの量を誇るからだ。魔法というのはX粒子という謎の物質からなり、魔法を発動するにはX粒子を持っていることと放出できることが条件だ。もちろん、X粒子から魔法が成るのだからそもそもなかったら意味がないし、放出出来なかったら体内にしか魔法が使えない。
俺が魔法を使えない理由は後者だ。なので、X粒子の放出を補助する機械があればいい。だからこの機械をつけているのである。
そのまま説明すればいいじゃないかと思われそうだが、魔法士にとっては一般人が魔法を使えるというのはアドバンテージを失うことを意味する。つまり、それが大きなインパクトであるということだ。
人というのはインパクトが強いものを覚える。すなわち、伝わる間にいつの間にかあの機械は一般人を魔法士にし自分の職を脅かすとなってしまう。
これを懸念しての口封じだったわけだ。解決策を思いつかないまま俺は残った席へと腰を着けた。
立て込んでて書けなかったでござる




