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すり替え  作者: 大和香織子
第一章 証言
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古部洋

 私の家は教育熱心の家系でしたから、私は小学一年生の時から毎日二時間は勉強させられていまして、外で遊ぶ同級生を見ては非常に羨ましく思ったものです。


 彼とは一度も同じクラスになった事はありませんでしたが、虐められながらも外で楽しそうに遊ぶ姿を見ては、いいなと思ったものですよ。


 まぁ、そうかと言っても、彼の様な家庭環境を見ると、遊べなかったけれどもこれで良いとそう感じていましたし、大人になって両親、特に母親への感謝の気持ちが強くなりました。


 母が私の将来をしっかりと考えて、そういう指導を行って来てくれたからこそ、今の私のこの地位があるわけですし、今考えたら毎日、母親とスピードと正確さを競うようにしてやっていた母親手作りの計算問題、もう一度やりたくなるほどです。


 小学生と言ってもまだまだ子供ですから、遊びたい誘惑が多い中、私が脱線しないように見守ってくれ、夜中にお腹が空いた時には夜食を作ってくれたり、具なしのおにぎりを握ってくれたり。


 そのお蔭様で私は見事に第一志望の中学に入れたのです。

 中学受験というのは、長いスパンで見ないといけません。

 集中力も身に付けなければなりませんし、六年生から急にいい学校に行きたいと言っても親の指導力と補助力がある上で、相当成績がよくないと受かる物ではありませんから。


 親も勉強をするコツと言う物がなければ、難しかったりするのではないでしょうか。


 まぁ、そういうのは現在ではインターネットという便利な物があるから調べたら、いくらでも出てくるでしょうが、当時は調べるなら本くらいでしたからね。

 あとは塾の先生に聞いたりですとか。


 ただ、親の方も頑張れ、頑張れと励ますだけでは、駄目ですね。塾に行き積極的に情報を得ようだとか、周囲のお母さん方に情報を聞き出すとか、そういう行動が出来る親でないと、まず受かりません。


 すみません、つい熱くなってしましましたが。


 実際にいたんですよ、私と同じクラスの奴で、普段、遊んでいるのに六年生になって皆が受験することを知ってから受けようとした奴が。

 そんなに頭がいい方でもなかったのですがね、自分も受けると言い始めて、「今からじゃ無理だよ、自分なんて一年生の頃からべんきょうしてきたんだから」そうやって言いたいところをグッと我慢しました。


 結果、その子は第三希望の所に受かりましたが、後は全滅でした。まぁ結局公立高校に行ったそうですがね。


 その第三希望の所に受かった事に対して、私は正直言って不公平だ、と思いましたが。


 勉強なんて宿題だけで、放課後は遊びほうけてばかりいた事が、やはり妬ましかったんですよね。


 でも、まぁ今こうして、高収入を頂いていますし、美人な妻もいるわけですから、自分で言うのもなんですが、勝ち組だと思っておりますよ。


 今、未就園児の娘には、小学受験をさせるために、受験を受ける本人ではなくて、今度は親の立場として奮闘しております。


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