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すり替え  作者: 大和香織子
第一章 証言
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古部洋

 昔の話ですが、それも小学生時分のです。


 同じ学校の男子生徒が川に流されてしまいまして、その男子生徒をみんなで大変だ、といいながら探していたのですが、1時間たっても見つからなかったので、これはもう駄目かもしれないということになったりして、大騒ぎになったのですが、数時間後にその男子生徒は川から離れた場所で見つかったんです。

 みんな落胆しました。流されて溺死してしまったと。


 しかし、そうではなくて、その男子生徒は川で流されたけれど、何故か助かり既に家に帰っていました。


 無事が分かって良かったのですが、本当の所、その男の子は流されてなかったのです。


 一緒に遊んでいたもう一人の男の子がその子の持っていたキラキラシールが欲しかったらしく、いくら言ってもくれようとしないので、力づくで奪おうとした所、そのまま川に突き落とす形になってしまったのです。


 怖くなったその男子生徒は走って逃げたそうですが、そこにたまたま通りかかっていた男子生徒のお母さんが、川の中から直ぐに救出したそうです。それに男の子が落ちた場所に流れなどほとんどない。それどころか、水深20センチくらいの浅い場所だったのです。


 それを見ていたもう一人の男子生徒がいました。


 その男の子は、一部始終を目撃していて、突き落とした子の名前を出して「男の子が流された、あの子が落としたんだ」そう言って周囲の大人たちにそうやって救出するように求めたのです。

 その真実を知らない人たちの間では、その話は不思議な話で都市伝説の様になっています。


 では、何故私がその話を知っているかというと、私もたまたま傍を通りかかっていて、偶然それを見ていたからでした。


 嘘をついた男子生徒は、川に突き落とした男子生徒に虐められていたんです。それで、そんな事をいってしまったのだと思いますが。


 何故そんな話をするのかと言えば、似ているんです。直美の旦那が虐めっ子だった少年に。


 初めてあった時、直美が彼と一緒にいるのを見てしまった時から、ずっと思っていました。

 ただ、先ほどもお話し致しましたが、直美の旦那さんはアメリカ育ちらしいですからね……。


 しかし、傷痕まで同じ場所にある、なんて事があるのでしょうか。


 今はやっていませんが、一時期、身体を鍛えるためにジムに通っていたのですが、偶然にも直美の旦那も通っているようでした。


 「こんにちは」と挨拶をこちらからしてみましたが、まるで、初めて見る様な顔をしながら「こんにちは」と笑顔で挨拶をかえしてくれました。

 それを見て、私の思い違いだったかと、そう思いましたが、半そでから覗く、右肘から少し下の所に、5センチくらいの長細い傷をみて間違いないと確信しました。


 彼が何の為に、他人になりすましているのかは分かり兼ねますが、何か裏があるのではいでしょうか。

 あくまでも憶測ですが、もし本当に彼なら、直美の家の財産目当てとかではないでしょうか。

 私が覚えている限り、彼は母親しかおらず裕福な家庭ではないようでしたから。


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