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合体訓練

 数日後。

 演習場に集まった、ハリス、ロディ、ユーリは、それぞれの機体の中にいた。

 ()()での合体の成功率を上げるため、実戦を想定しての訓練を行うからだ。

 アイク、シャオ、デューイとハナは、格納庫内で待機している。


 『さて、準備は整ったかな? それじゃあ始めようか!』


 レインの声が、通信越しに響く。その声色は、いつも通り楽しそうだ。

 そんなレインに、ロディが珍しく声をかけた。


「レイン博士。楽しむのは結構だが、合体機構の確認は何度行う予定だ?」


『そうだねぇ、状況に応じてかな?』


「……承知した」


 納得していないのが分かる声で、ロディが返答する。

 そんな彼女の反応に、ハリスは苦笑し、ユーリは静かに頷いていた。

 もっとも、それは音声通信のため見えていないのだが。


『カウントダウンに入ります。ハリストフォル・ハクルート大尉、ブローディア・フォン・エルフシュタイン中尉、ユリシーズ・バーレイ准尉。タイミングを合わせて下さい』


 エッダの声を合図に、カウントが始まる。

 ハリス、ロディ、ユーリはそれぞれの機体を操作し、変形体勢に移行する。

 三機による合体は、実に複雑で繊細だ。

 少しでも()()が生じると合体は成功しない。

 そのため、張り詰めた空気……緊張感が関わる者達全員に広がる中、訓練が開始された――


 ****


 それから――数か月が経過した。

 その間、訓練は何度も実施されたが、完全な合体には至らなかった。

 原因究明のため、機体の確認や調整が現在最優先で行われている。そのため、合体機構を有しているハリスのエヴァンゲリウム、ロディのキルヒェンリート、ユーリのエルプズュンデは出撃出来ない状態となり、必然的に疑似怪獣(ハイ・カタストロイ)への対応は残りの合体機構が無い三機が行う事となっており、アイク、シャオ、デューイとハナの不在が増えた。

 その状況を快く思ってはいない。少なくとも、ロディとユーリはそうだ。

 ハリスは、隊長という立場もあってか、レインと打ち合わせている事が増えており、そもそも考えている事が共有出来ていないのだが。

 それでも、現状が良いとは誰も思っていないのだけは、事実だ。

 だからこそ、歯がゆい想いを抱きながら、ロディとユーリは援護を積極的に行っている。

 アルプ機関にも協力を要請しているため、支援体制は整って来てはいるが……それでも、現状打破の一手にまでは、まだ遠く。

 それがまた、隊員達含めた皆を焦燥させるのだった――


 但し。

 レイン・エンジェルという男だけが、いつも通りであったが……。

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