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研究室にて

 その頃。

 ヴェルト・アル=ズィーゲリン内の研究室に、レインとエッダ……そしてハリスの姿があった。

 棒キャンディーを舐めてくつろぐレインとは対照的に、ハリスは呆れた表情で口を開く。

 

「レイン……だらしないですよ?」


「今さらそれ、気にするのかい? ボク達の仲じゃあないか」


「だからと言って、場はわきまえて下さい? それで、呼び出した理由はなんです?」


 ハリスから尋ねられたレインは、傍らにいるエッダに視線を送る。彼女は無言で頷くと、手にしている携帯端末を操作し始めた。

 すぐに室内が暗くなり、レインの手元付近に立体映像が映し出される。


「これは?」

 

「カタストロイの全体像を、今までのデータを基にして()構築してみたものさ。ここからが問題なんだけれどね? ハリス、何か気づかないかい?」

 

「形態は変わっていなさそうですが……」


「そう! そこなのさ、ハリス! あれだけ君達を翻弄したというのに、形態も進化した形跡がないのさ!」


 そこで一呼吸置くと、レインはより饒舌に話し出した。まるで、面白い玩具を見つけた子供のように。


「つまり! カタストロイはある意味完成されているのかもしれないんだ! そんな事、この地球、いや、人類史においてありえなかった事だよ! やはり、ボクの()()は正しかったのさ! カタストロイは、()()()から来たものだ!」


「はぁ……出来れば、その予知は当たらないでほしかったですね。しかし、そうなると実に厄介です」


「その通り! 実に厄介だよ()は! さぁて、どうするか? そこが問題だね! という訳で、呼び出した訳さ! ハリス! 君をね!」


 椅子から立ち上がり、目を輝かせながら前のめりで、ハリスに迫る。ハリスは、慣れた様子で少し距離をとると、話を続ける。


「その理由を、早急に教えてほしいですね?」


「それはズバリ! 君の乗るエヴァンゲリウムと、ブローディアの乗るキルヒェンリートと、ユリシーズの乗るエルプズュンデ! この三機の合体機構を、完全に解除するのさ!」


「なるほど? いよいよ、合体を現実にするという事ですか。その想定で三機は造られているから、当然と言えば当然ですが……まさか本番でやれとは言いませんよね?」


「安心しなよ! しっかり調整の時間を設けるさ! まぁ猶予はあまりないかもしれないけれどね?」


 二人の会話が止まったタイミングで、研究室のドアが開いた。入って来たのは、ナディアだ。彼女は真剣な面持ちで、二人に視線を向ける。


「レイン博士とハリストフォル大尉。お邪魔致しますわ。ご報告が三点、アルプ機関を代表して、やってまいりました。主に……疑似怪獣(ハイ・カタストロイ)から得たデータの事ですわ」


 その言葉に、レインの瞳の輝きが増す。それを見ながら、ハリスは嫌な予感を感じていた――

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