カタストロイの恐ろしさ
『こちら、ヴェルト・アル=ズィーゲリン。これより、エヴァンゲリウム、エルプズュンデ、シュッツ・エンゲルが合流します』
エッダからの通信で、ロディが陣形を変えるよう指示を出した。
『アイク、シャオ。合流地点に近い所まで後退しつつ、カタストロイとの戦闘を継続する』
「了解ですが、副隊長殿? 勝てる見込みはあるんですか?」
『ない。今の我々では、アレには勝てない』
「つまり、合流した所で……意味、あります?」
いつにも増して攻撃的な発言をするアイクに、返事をしたのはシャオだった。
『意味はあるぞー! みんなで力を合わせれば、被害が少なくて、ハワイの人達の日常が早く戻るかもなんだぞー!』
予想外の言葉だった。そもそも、シャオにここまでの強い意志がある事に、アイクは驚いてしまった。
そして、自分を恥じた。
(理解してなかったのも……ナメてたのも、こっちだったってわけですね……)
「失礼しました。指示に従います」
『そうか。では、後退するぞ』
ロディは咎める事なく、行動を開始した。彼女は銃鎌のモードを実弾に切り替えると、カタストロイに向けて放つ。
その後に続いて、シャオとアイクも十字架小型兵装のモードを実弾に切り替えて、牽制しながら後退して行く。そうして、合流地点まで辿り着くと、再び障壁を展開する。
カタストロイは身体を再度震わせ、今度は背中からエネルギーの弾を三機に向けて、放って来た。
障壁で防ぐ事は出来たが、威力が凄まじく一撃で障壁が崩れてしまった。
『本体の攻撃だと、一撃でこれか。やはり疑似怪獣とはだいぶ違うな』
相変わらず冷静なロディだが、このままでは三機ともやられてしまうのは目に見えている。アイクとシャオはエネルギーを充填する。
(早く障壁を! 出ないと、死んじまう!)
アイクは自分が焦っている事に気づき、思わず苦笑する。そうしている間に、充填され、再びアイクとシャオで障壁を生成する。
その間に、ロディが解析を行う。
普段、彼女が解析をする事はない。だが、現在の状況ではその役目が出来るのはロディだけだ。
だからこその、作業。
その結果――
『なん、だと?』
「どうされました? 副隊長殿?」
『今までのデータより、解析出来る部分が減っている。いや、正確には進化している? 変異? とにかく、今までのデータと合わない!』
それはつまり、カタストロイ本体は進化、または変異出来る有機生命体であるという事だ。今まで、そんな状況になった事はない。
(自分達が、疑似怪獣を倒して来た事と何か関係が……? とにかく、状況は最悪ですね……)




