表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/39

敵は突然現れるもの

 二週間後。

 霧の濃さが増して行く中、ハワイ諸島近辺を哨戒していた特別基地の隊員達から、カタストロイ本体の影が見えたという情報が増えて来ていた。

 だが、情報だけで本体自体の出現情報はなく、トロイメライ戦隊の三人は動けずにいた。

 焦燥感が募るアイクだが、表に出しても仕方ない。

 故に、携帯端末のゲームで気を紛らわせていた。なお、ロディは読書をしていていつも通りだが、シャオは仮眠室で大人しくしていたり、かと思えばロディに絡んでいたり忙しなかったが。

 

(子供じゃあるまいに、と言いたい所ですが。精神面は幼子みたいなもんですしねぇ)


 シャオは、かつての人格崩壊から新たに人格を形成している。その結果、知識と精神面での成長度合いに差が出てしまっているのだ。それがまた、アイクの心を揺さぶる。


(本当に、戦場に出していて良いんですかね?)


 彼の技術は確かなものだし、身体能力も高い。兵士としての能力だけで考えるなら、かなり有能と言える。だが、それは()()という意味であり、人間としてみるなら、幼子のような状態の彼を戦わせるのは、アイクにとって非道に思えて仕方ない。

 そんな不満を抱えていても、トロイメライ戦隊にアイクが所属しているのは……一重に守りたいものがあるためだ。

 自分が育った養護施設の子供達。

 育ててくれた施設職員達。

 例え、それが普通の形でなかったとしても、彼は守りたいと思っている――


 ****


 数時間後。

 突如として、警告音(アラーム)が鳴り響く。

 一気に緊張感が増す中、アナウンスが響いて来た。


大災害の悪魔カタストローフェ・トイフェルが、オアフ島に上陸した模様! 繰り返します! 上陸した模様!』


「アイク、シャオ。行くぞ」


 ロディが読んでいた本をしまい、仮眠室からシャオが出て来る。アイクもゲームからログアウトし、専用ルームから出る。

 格納庫に着いた三人は、各々の機体に搭乗すべく向かって行く。

 そうして乗り込むと、機体を発進させた。

 ロディの乗るトロイメライ・キルヒェンリート、シャオの乗るヴュルク・エンゲル、そして……アイクの乗るトーデス・エンゲル。三機のM.E.が地下から地上に出て、オアフ島へ向かって駆けていく。

 浮遊機構を使用して、海上を走る三機の視界にそれは見えてきた。

 黒い身体は鈍く光り、金属のような光沢と機構を持つ巨体が蠢きながら、オアフ島をゆっくりと移動していた。両足はヒレのような形状だが、両腕は人間の腕のような五本指に、顔は鯨に似たその姿は、不気味で気持ち悪さもあり、まさに悪魔と呼ぶに相応しいだろう。背中の二対の鱗状の翼のようなものが、青白く時折光るのもまた、その印象を加速させる。

 ――大災害の悪魔カタストローフェ・トイフェル機械仕掛けの天使(マシーネ・エンゲル)がいよいよ衝突する。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ