表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/39

戦いの火蓋は落とされた

「無事な者はこれで全員か……?」


 アラスターの声が響く。その声色は緊張感に包まれており、それだけで充分事態が深刻である事は理解出来た。茫然とするアーレントの横を、ハナが横切りデューイとハリスのそばに行き、話を始めた。


「ハリス()()、これで伝播を回避出来た者は全員になります」


「報告ありがとうございます、ハナ()()。少し休んで下さい」


「ですが……」


「ハナ、ここは隊長の指示に従うべきだぜ? オレ達にも準備がいるんだからさ」


「デューイ()()の言う通りですよ。お二人の力が必要不可欠なのですから」


 三人が話を終えてから、アラスターが口を再度開く。その眼差しは悲しげだ。


「トロイメライ戦隊よ、貴様らを軽んじてすまなかった……心より謝罪する。だからどうか!」


 ――大切な部下達を、疑似怪獣(ハイ・カタストロイ)の魔の手から救ってくれ。


 この基地の司令官であるアラスターの心からの想いに応えるべく、トロイメライ戦隊の構成員であるハリス、デューイ、ハナは動き出すべく休息を取りつつ準備を始める。……出撃の準備を。


 ****


 その頃。

 レナータとラヴィニアの二人は、伝播させた兵士達をしり目に空を見上げていた。その瞳は暗く影を感じさせるものだった。


「姉さん、勝負の時だね」


「そうね。ようやく、終焉を迎えられるかもしれないわ……彼らが邪魔さえしなければだけれど」


「アイツらは来る。だから……」


「えぇ、見せてあげましょう? 私達姉妹の絆と絶望を……!!」


 二人は互いの手を重ねて繋ぐと、その身体が崩れて行く。人としての姿を失い、銀色の身体に二つの顔がついた四足歩行の疑似怪獣(ハイ・カタストロイ)へと変異した。


 ****

 

 二機の機体が加速しながら変異したコールフィールド姉妹へ迫る。先行するのは、白基調に紫のラインが入った機体で右手に銃剣(ゲベート・バヨネット)を構えており、それを追うように白基調に赤のラインが入った左腕にドリルが着いた機体が走る。

 銃剣(ゲベート・バヨネット)を手にしているのが、隊長であるハリスの乗るトロイメライ・エヴァンゲリウム。

 ドリルを装着しているのが、デューイとハナの二人乗りのシュッツ・エンゲルだ。

 二機のM.E.に通信が入る。


疑似怪獣(ハイ・カタストロイ)を確認致しました。これより個体名をグシオンと命名……ご武運を』


 通信越しのエッダの声色は、相変わらず無機質だが気遣いは感じられた。そんな彼女の成長に、ハリスがいつも通りの穏やかな口調で返す。


「良い傾向ですね、エッダ。レインもさぞ()()事でしょう……と言う話は置いて、デューイ少尉とハナ少尉、準備はいいですね?」


『了解です、隊長! ハナ、気合いれろよ!』


『勿論です! 隊長の()()に尽くします!』


 通信を終えると、二機は疑似怪獣(ハイ・カタストロイ)グシオンと対峙する。

 ――戦いは始まったばかり。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ