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新三国志 退廃帝曹叡と賢英帝劉禅  作者: 水源
建興12年(234年)
36/41

五丈原の皇帝対決

 斜谷道の出口である五丈原では北の渭水に流れ込む武功水の西に諸葛亮は布陣し、魏軍は武功水の東の高台である馬冢へ布陣しておりにらみ合いが続いていた。


 魏の諸将は渭水の北で待ち受けることを願ったが、民家が渭水の北に集中していることからこれを退けた。


「例年の進行により離散している民を戦火に巻き込んでこれ以上減らすわけには行かぬ」


 魏軍の総大将である曹宇はひとりごちた


「そして武功水がこうも増水してはあちらも動くに動けぬか」


 南の秦嶺山脈側の雨が源流に流れ込み、各支流の増水を呼び、それが注いで渭水をも増水させている状態では河を挟んでのにらみ合い以外はできないでいた。


「最もあちらは食料に困っているだろうから、このままにらみ合いを続ければ先に根をあげるのはあちらであろうがな」


 蜀軍は常に輸送に難儀しており、それ故に持久の構えを取ることで労せずに勝つことができると判断そしてしたのだ。


「これは困りましたね……できれば早めに叩きたいところでしたが……」


 もし諸葛亮が本気で短期決戦を望むなら、早急に渡河して背水の陣を敷いたとしても、武功水を渡り魏軍の陣地へ向かうはずであるゆえの判断であったが孔明もそこまで無理をする必要性を感じてはいなかった。


「さて間に合ってくださいよ」


 そして水の流れが少し穏やかになったことで、諸葛亮は虎歩監の孟琰(もうえん)に武功水を渡らせ渡河した孟琰は曹宇により攻撃をしかけられるが、諸葛亮はこれを援護して弓弩で迎撃し、急ぎ橋を築きはじめた。


 そしてその橋の完成までに曹宇は孟琰を撃破出来なかったため武功水には橋が通ったがその時に曹叡の援軍歩騎4万が到着した。


「おお、陛下の近衛軍が到着したか」


「うむ、大群に小賢しい用兵は不要だ。

 全軍にて全面的な攻勢をかけ諸葛亮の軍を壊滅させる」


「かしこまりました!」


 魏軍の全面攻勢が開始され、諸葛亮の軍は斜谷道に追いつめられたかに思えた。


”ジャーンジャーン”


 だがその背後に銅鑼の音が鳴響き、司馬の旗と劉の旗が翻った時に包囲されたのは自分たちだと気がついた。


「司馬懿と劉禅がこちらへ向かってきたか。

 なんという神速よな」


 そして儻駱道を通じて蜀漢皇帝である劉禅もまた出陣して来たのであった。


「ふふふ、ようやく朕も戦場で戦うことができるな。

 腕がなるぞ」


 兵数は魏が上、状況は蜀が包囲していて優位に見える。


 ここに魏と蜀漢の皇帝の直接対決が始まったのである。


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