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新三国志 退廃帝曹叡と賢英帝劉禅  作者: 水源
建興8年(230年)
19/41

曹叡は農閑期の農民のために土木工事を推進し、呉と蜀の離間を図る

 曹叡は昨年、妻のない男、夫のない女、孤児などの税を免除し、婚姻を結ばせ、孤児を養子にするように勧めさた。


 これにより戸籍に登録される家族が増えて租税がより多く確保できるようになり、餓死する子供なども減り人口の増加も見込めるようになった。


 これで魏の根本の力である農業生産力や徴兵できる数も増えるのである。


「なにもすぐに結果がでなくとも良いのだ。

 これを続ければ我が国の人口は他を圧倒し、いずれは蜀も呉も我々に従うしかなくなるであろう」


 陳羣はうなずく。


「誠にそのとおりでございます。

 10年も経てば彼我の差は圧倒的なものになりましょう。

 そうなれば揺さぶりを掛けるのもたやすくなります」


 かといってそれだけではまだ不十分である。


「麦の種まきなどが終わり農民が多少暇になったのであらば、土木工事の賦役を行わせよ。

 その際、参加するものには食事と多少の日当を与えるが良い」


「無償での労役は租税と共に義務でございますが?」


「まずは食えるようにすることが先だ。

 田畑を持ったばかりのものはまだ収穫を得ておらぬであろう。

 そのものたちを放っておけばどうなる?」


「逃げ出すでありましょうな」


「ならば逃げ出さにようにするにはどうすればよいのだ?」


「確かに食料を与えるべきでございますな」


「我が与えるのではなく道路や運河の整備などを行わせたほうがこちらにもあちらにも都合が良いではないか、そして民が豊かになったならならば、そこから税をとれば良い」


「かしこまりてございます」


 その一方で、劉放が曹叡に面会を求めてきた。


「うむ許可する」


 劉放は前漢の武帝の第三子である燕剌王劉旦の末裔にあたり、その直祖は燕剌王の玄孫である西郷侯の劉容で、その後裔にあたる。


 曹操が官渡の戦いで袁紹に大勝し河北に進出すると、曹操の目にとまり、劉放の才能を買った曹操はい、彼を参司空軍事に取り立てた。


 曹丕が献帝より禅譲を受け帝位に就き、魏を建国すると、秘書郎を経て中書監に就き、給事令・関内侯を与えられ、孫資と共に政治の機密を担った。


 そして曹叡の代に、皇帝からの信任は一層強まり、散騎常侍・西郷侯を与えられている人物である。


「何やら孫権が遼東や夷州と亶州ヘと人を派遣しているようでございます」


 劉放の言葉に曹叡はうなずく。


「うむ、そのようだな。

 だが呉とそれらの場所は遠すぎ、孫権の行為は無為に終わるであろう」


「そうかもしれません。

 ですが、それを利用して蜀にもあたった方がよろしいかと」


「ふむ」


「難破して冀州へたどり着いたものが持っていた孫権の文書を改変し、蜀漢の諸葛亮にそれをわざと手に入れさせ、呉と蜀を離間させるのがよろしいかと」


「ふむ、それであれば、手に入れる諸葛亮ではなく楊儀と申したか、あれに渡るようにしたほうが良いであろう。

 諸葛亮であれば秘匿して握りつぶすであろうが、小人であればこれ幸いと言いふらすであろうからな」


「かしこまりました。

 ではそのようにいたしましょう」


 曹叡は間違いなく天才であり、彼は嫌がらせ的な行動も好んだ。


 もうあまり時間がない諸葛亮やそれと共に戦おうとする司馬懿、そして彼らの君主劉禅にとって曹叡は時間も自分の味方であることを認識している、やっかいきわまりない敵であるのだ。

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