歯車の紋章
遂にマッスルゴーレムコンテストも閉会式を迎えた。表彰式が行われる前に、本選一回戦で敗退した男女各四名にガイアは左胸から橙色の土属性のELエムブレム『歯車の紋章』を生み出し、彼らに授けた。
次に、本選二回戦で敗退した者達への表彰が行われた。ケントに順番が回って来た。ケントはガイアの前に登壇した。
「『ココロザシを背負う者』よ、そなたに歯車の紋章を授ける。これからも魂を高めるが良い。」
ガイアはケントの羽織っているマントの刺繍から称号を付け、彼に歯車の紋章を授けた。
「有難うございます。」
ケントはガイアに一礼して降壇した。
準優勝の表彰の後、最後に優勝者への表彰が行われた。男性の部ではケントを敗った剣闘士が優勝した。そして、いよいよ女性の部優勝者アジューリアがガイアの前に登壇した。
「『泉の狙撃手』よ、そなたに歯車の紋章を授ける。これからも魂を高めるが良い。それから、そなたは私の加護を受けておる。必要あらば紋章を抱くが良い。いつでもそなたの力となろう。」
ガイアはアジューリアの得物と、彼女の身体の中から泉の如く生成される青のEL粒子が多い事から称号を付け、彼女に歯車の紋章を授けた。紋章は縁が七色に輝いていて豪華な感じだった。
「有難うございます。あなたにも水の加護がありますように。」
アジューリアはガイアに一礼して降壇した。
こうして表彰式が終わり、次は賞金の分配が行われた。優勝者には60KG、準優勝には40KG、ベスト4には20KG、本選一回戦敗退者には10KGが賞金として支給された。二人は合わせて80KGを受け取り、閉会式が終わった。
閉会式を終えた二人は、ムスタン達に報告と彼へのお見舞いも兼ねて、サターナの元に向かった。
「サターナ様、早速で失礼ですが、僕達の連れのムスタンに会わせて頂けないでしょうか?」
ケントはサターナに案内して貰えないか尋ねた。
「…わかったわ…。ついてきて…。」
サターナは二人を案内した。二人が案内された場所はLRの医療棟だった。そして、案内された病室では、右腕に義手を装着したムスタンに彼の世話をするジジョッタとユリアがいた。
「あっ、皆~!」
病室に来た二人を出迎えたのはユリアだった。ケントはムスタンの右腕に注目した。
「!!…ムスタン!その右腕は一体…?」
「わたくしが造りました。」
答えたのはジジョッタだった。
「しかし…、まだ義手がうまく機能しておりません…。きちんと機能させるには何らかのEL技術が必要です…。」
ジジョッタは続け様に義手が機能するには何らかの技術が必要と述べた。
「そうか…。ムスタン…、左腕だけでも大丈夫か…?」
「ケント、今はそっとしておきましょう。」
「欠損を伴った負傷者が『自分の身体の一部が欠損している』という現実を受け入れるのはそうそう簡単な事じゃないわ。」
サターナとアジューリアはケントを制止し、病室の外に連れ出した。
二人はケントを談話室まで連れ出し、ケントとアジューリアはサターナと向かい合う形で席に着いた。
「あなた達の連れであるムスタンが負傷した件についてお話しするわ…。」
サターナは二人にムスタンの事について語り始めた。彼女は一体何を語るのだろうか…?
本編のスピンオフ、短編小説『黒き将軍王』は覇道に奔る者を元家臣から将軍王自身に差し替えたifパラレルです。
ご愛顧頂けたら嬉しい限りです。




