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将軍王のココロザシ  作者: TAK
第一部第七章~マッスルゴーレムコンテスト
93/159

石柱斬り

いよいよ本選が始まった。ケントもアジューリアも難なく勝ち抜きお互いベスト4に進出した。


準決勝に勝ち進んだケントの相手は屈強の剣闘士だった。

「坊主、若手ながらその鍛え方…、大したもんだ。だが…、優勝は俺が頂く。」

「それがしも…、ここまで来た以上最善を尽くさせて頂きます。」

ケントと剣闘士は対戦前にお互い言葉を交わした。

「男性の部準決勝の課題は…、これです!」

共に二人の前に出されたのは二本の石柱だった。

「この同じ材質、同じ重さの石柱を同じ材質、同じ重さの剣で一斬りします。両者切断に至った場合は断面の美しさで勝者を決めます。一方が切断に至らなかった場合は切断に至った方を勝者とします。両者切断に至らなかった場合は剣の食い込みが深い方を勝者とします。」

二人に同じ剣がそれぞれ配られた。


「さて…、わしらは予選落ちしてしまったが今度の本選の顔ぶれは…。!…あの坊主か…。」

「何とあの坊主が本選に勝ち残ったか…。」

例の小柄で屈強の老人二人も本選会場の観客席で観戦していた。

「のう…、ぬしよ…。剣闘士とあの坊主ではどっちが勝つと思うか…?」

「わしは…」


「それでは…、用意…、始めっ!」

進行係が合図をすると二人は用意された剣で石柱に斬り付けた。両者上下が切り離された状態だった。後は断面の勝負だ。ケントの方は切り離される直前の方がゴツゴツしていた。一方、剣闘士の方は全面的にツルツルしていた。よって勝者は剣闘士の方だった。

「見所あったぜ、坊主。これからも頑張りな!」

「有難うございます。そちらこそ優勝目指して頑張って下さいませ。」

勝負の後、手の甲同士を触れ合って互いを称え合う二人だった。敗退してしまったケントだったが、悔しさよりも相手を認めようとする気持ちが大きかった。


「あの坊主が負けてもうたか…。」

「仕方あるまい…。ティーンでここまで来れれば大したもんよ…。」

「さて…、今度は女性の部じゃな…。!…何と…!あの青い姐ちゃんが勝ち上がりよった!」

「何々…!これは…、まさに見逃せぬ事態じゃな…!」

例の小柄で屈強の老人二人が女性の部を見てみるとアジューリアが決勝まで勝ち上がったのだ。果たして彼女は優勝を手にする事が出来るのか?

本編のスピンオフ、短編小説『黒き将軍王』は覇道に奔る者が変わるとどうなるかを体現したifパラレルです。

ご愛顧頂けたら嬉しい限りです。

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