ブレイズエムブレム
メフレックスの案内でリンカヘイムのカルデラの上の火口に着いたケントAU団一行だった。
「ここよ。この中にわたしの相棒が眠っているの。」
メフレックスは火口の溶岩を指さして一行に伝えた。
「さあ、『溶岩女傑オンタケ』よ。一年もの訓練に耐え抜いた彼らにエムブレムを授けるのです。」
メフレックスはブレイズエムブレムをかざして火口の中に眠るオンタケに語り掛けた。すると、火口から溶岩を魄とし、巨大かつ屈強な女性の姿をしたカムイが上半身のみの状態で現れた。
「あたしはオンタケ!火のクイーンガーディアンさ!マスターからあんた達の事は聞いたよ!厳しい訓練に耐え抜いたって事は結構な信念持ってるじゃないか!そんなあんた達に餞別として炎の紋章を授けてやるよ!受け取りな!」
オンタケはケントAU団一行にそれぞれ炎の形をした赤色のエムブレムを授けた。
「こいつであんた達も火の加護を受けられるし、火の力も使えるよ!ただ、使い方を誤ると周りを燃やしちまう事もあるから気をつけんだよ!」
オンタケは一行に火の祝福を受ける事は火の危険も伴う事を伝えた。
「心得ました。」
「はい。」
「承知した…。」
「わかりました…。」
「うん!ユリア気をつける!」
そして、一行は火属性のQGであるオンタケとの別れの挨拶をした。
「それではオンタケ、わたし達はこの辺で失礼するわ。」
「あなたにも風の加護がありますように。」
「あなたにも水の加護がありますように。」
「貴殿にも…、風の加護を…。」
「あなたに…、真の業を…。」
「かっこいいエンブレムをありがとう!ユリア大事にするね!」
「ふっ…、あんた達に火の加護をな!」
かくして、ケントAU団一行はメフレックスと共に鉄騎士団本拠に戻って行った。
鉄騎士団本拠の応接室では、メフレックスがケントAU団一行に書簡を持って来た。
「これをロードガルドの『シーマヘイム』を拠点とする『歯車騎士団』の団長『サターナ』に渡して。あなた達がAUとしての訓練を受ける為に必要な書類が入っているの。それと…」
「それと…?」
「彼女に渡せばわかるわ。」
メフレックスはケントに書簡を渡した。
「わかりました。必ずお渡し致します。」
ケントは快諾した。
シーマヘイム…ロードガルドの歯車騎士団の本拠で、近くのヘイム『グランヘイム』には職人街があり、工房も多い。
グランヘイム…ロードガルドの職人街で多くの工房が建ち並ぶヘイム。小柄ながらも力仕事を得意とする種族、『ドワーフ』が多く居住している。
歯車騎士団…ロードガルドの国境なき騎士団。管轄の特殊部隊『ロードレンジャー』を有する。ゴーレムに関するEL技術の管理も担っている。
ロードレンジャー…歯車騎士団管轄の特殊部隊で、略して『LR』。落盤や浸水等の災害による救助活動や、アヤカシの駆除等が主な任務。
そして、一年いたレッドガルドにも別れの刻が来た。
「メフレックス様、色々有難うございました。」
「私…、ここに来て初めて自分に自信が持てたような気がします…。本当に…、有難うございました…。」
「一年間感謝致す…。」
「一年間花を育ててみて…、生命とどう関わるべきかが…、わかってきました…。感謝致します…。」
「ユリア、楽しかったよ!これが思い出って物なんだね!」
一行はメフレックスに感謝した。
「鉄騎士団にもココロザシを…。」
「鉄騎士団にも水の加護がありますように。」
「鉄騎士団にも…、風の加護を…。」
「あなた達鉄騎士団に…、真の業を…。」
「色々ありがとう!さようなら~!」
「あなた達ケントAU団にも炎の加護を!」
こうしてケントAU団はメフレックスに別れを告げ、ロードガルドへ旅立って行った。




