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将軍王のココロザシ  作者: TAK
第一部第六章~ケントAU団始動
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巨大アヤカシ出現!

一行の前に一体のトグロイドが迫って来た。トグロイドの身体は糞人形とは違うと言わんばかりに外殻も出来ており、『糞で出来たゴーレム』と揶揄される程の物々しい雰囲気だった。

「まさか…、この廃村に肥溜めがあったのか…。だが…、アヤカシ…、いや化物め、これでも喰らえ!ELアーツ、『ホムラぁぁぁぁぁぁぁぁ、バスタァーーーーーーーー、ショォーーーーーーーット』!!」

ヴァリギッドはトグロイドの出現に一瞬動揺したが、それを化物と呼ぶと同時にクロスボウを構え、火属性ELアーツ『ホムラバスターショット』を放った。炎の形をした赤い閃光と同時に赤い矢がトグロイドの左胸に着弾するも外殻を穿(うが)つには至らなかった。

「くっ…、私の奥義で以てしても穿てぬとは…。」

ヴァリギッドは自慢の奥義が効かなかった事に動揺気味だった。

「敵は土属性か…、ならば風属性の我が…。ELアーツ、『ハヤテぇぇぇぇぇぇ、インパクトォォォォォォ』!!」

今度はムスタンがトグロイドに攻撃した。風属性ELアーツ『ハヤテインパクト』でデクードアックスをトグロイドの片脚のすねにぶつけると四つ葉の形の緑色の閃光が発生した。しかし、デクードアックスは折れてしまった挙句、トグロイドの外殻を破壊するに至らなかった。

「くっ…、有利な属性なのにか…。」

ムスタンは動揺した。有利な属性のELアーツですらダメージを与えるに至らなかったのも拍車をかけていた。

「アヤカシはBEを帯びているため黒属性でもある!黒属性は虹属性以外の属性を覆す!虹属性でもない限り…、いや巨大アヤカシには何らかの流れでもない限り有利な虹属性ですら破壊するのは難しいだろう!」

ヴァリギッドは一行にアヤカシの属性と、黒属性について語った。

(歴戦の戦士であるヴァリギッド様やムスタンですら敵わないとは…。!…ん…、何だ?)

ケントがヴァリギッドやムスタンですら敵わないトグロイドに恐慌する中、突然彼の所持するクローバーエムブレムが緑色に光り出した。そして、エムブレムから極細の糸が出てきた。緑色に光る糸は両端のクローバーに伸びていた。

(これは…、まさか…、これでトグロイドを…。)

ケントはこの糸がトグロイドに有効な武器だと確信した。

「ムスタン、ジビエラ様、あなた方は暫くの間トグロイドを引き付けて下さい!」

「うむ…。」

「ジビエラ、わかったの!ハウンドも行くの!」

ケントはムスタンとジビエラに時間稼ぎを促した。盾だけのムスタンは勿論、ジビエラも相棒のホムライヌと共にトグロイドを取り囲んだ。

「ヴァリギッド様…、あなたは向こうの丘にあるテツノキの上にお上がり下さい。そこに糸の付いたクローバーをアジューリアの矢で渡します。そのクローバーをテツノキに括り付けて糸をピーンと張って下さい。」

今度はヴァリギッドに向こうの丘の上に上がるよう促した。

「大方意図はわかるが、この糸であのトグロイドを破壊する見込みはあるのか?」

ヴァリギッドはケントに作戦が成功する自信があるか問いただした。

「あります!どうか僕を信じて下さい!」

ケントは極めて強気なヴァリギッドには曖昧な返答だと聞き入れて貰えないと踏んで強気な姿勢を示した。

「わかった、お前を信じよう。」

ヴァリギッドはケントを信頼すると伝え、向こうの丘に向かった。

「アジューリア、僕と一緒にテツノキがあるそこの丘に登ってほしいんだ。」

「…わかったわ…。」

アジューリアはトグロイドに恐慌するも何とかケントと一緒にヴァリギッドと反対の丘に登った。


二人が丘に登り終えると、ケントは糸の付いたエムブレムをテツノキに括り付け、アジューリアにもう一方のエムブレムを渡した。

「これを矢に付けてヴァリギッド様の近くのテツノキの幹に打ち込んで。」

「ええ…。」

アジューリアはケントの指示通りエムブレムを矢に付け、弓で向こうの丘のテツノキの幹に打ち込んだ。ヴァリギッドはエムブレムを手にしてテツノキの幹に括り付け、糸をピーンと張った。

「ムスタン、ジビエラ様、包囲を解いてこちらに一気に走って下さい!」

糸が張ったのを確認したケントはムスタンとジビエラに指定された場所に走るよう指示を出した。

「よし…。」

「ジビエラ、了解なの!ハウンドも!」

ムスタンとジビエラとホムライヌは指定された場所に一気に走った。三体が尻尾を巻いたと判断したトグロイドは逃がすまいと追いかけた。そして次の瞬間、トグロイドの身体にケント達が仕掛けた糸が食い込み、トグロイドは胴体が真っ二つで地面に倒れた。そして、ケントのクローバーエムブレムは元の状態に戻った。

「よし!ムスタン、今だ!」

「承知…。ELアーツ、『エアロォォォォォォォォォォォ、バインドォォォォォォォォォォォ』!!」

ムスタンは盾を振りかざす形で風属性ELアーツ『エアロバインド』を繰り出すと、トグロイドのいる地面に四つ葉のクローバーの形をした緑色の光が現れ、トグロイドは少し浮いた状態になった。

「ハウンド!一気に燃やしちゃうの!」

ジビエラはホムライヌにとどめを促した。そしてホムライヌがトグロイドを持ち上げている緑色の光の中に入ると、トグロイドの周囲が燃え盛った。しかし、トグロイドも上半身だけ少し動きを見せた。

「…動いたの…。まだまだ炎が足りないの…。このままじゃ…、浄化出来ないの…。」

ジビエラがホムライヌの炎が足りず、このままではトグロイドを浄化できないと不安になった。

「ハウンド、私の炎をお前に分けてやるぞ!ELアビリティ、『ファイアブースト』!」

ヴァリギッドは赤い炎の形をした紋章『ブレイズエムブレム』をかざして、エムブレムがホムライヌに火属性ELアビリティ『ファイアブースト』をかけると、ホムライヌの炎が強まった。そしてトグロイドは焼け残った外殻以外は灰となり、浄化された。


トグロイドの残骸からまだ煙が上がっていたが、全く動く様子はなかった。

「やった…。僕ら…、遂に巨大アヤカシを…。」

ケントは皆で掴んだ勝利に感激した。

「お前のお陰だ、有難う!」

ヴァリギッドはケントに礼を言った。

「ジビエラ様…、有難う…。ケントも…、有難う…。」

アジューリアはジビエラとケントにお礼を述べた。

「ケントよ…、感謝致す…。ぬしのお陰だ…。」

「有難うなの!ケントのお陰なの!」

ムスタンもジビエラもケントに感謝した。

「よし、最後に灰を樽に詰めて撤収するぞ!」

ヴァリギッドは一行に最後の仕上げを促した。作業を終えた一行はトグロイドの残骸を遺構として残して撤収し、里に着いたのは黄昏時だった。そして、ケントの例の活躍がメフレックスに伝わったのはその日の夜だった…。

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