表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
将軍王のココロザシ  作者: TAK
第一部第六章~ケントAU団始動
75/159

溶岩に沈んだ村

ケントAU団一行がジビエラと共にヴァリギッド宅にミーティングに向かう途中、ケントはテツノキが地面に長方形の形に並べられ、その中に穴が掘られている事に気づいた。

「これは一体…?」

「ヒノハナの花壇よ。あなたがずっと眠っている間皆で作ったの。」

ケントの問いに答えたのはアジューリアだった。


一行がヴァリギッド宅に着くと、ヴァリギッドは当日の訓練の方針を伝えた。

「当面の目標は皆わかってると思うが、ヒノハナの栽培だ。今日の訓練について各自に伝える。まず、ジジョッタとユリアはヒノハナの種の選別だ。」

「はい。」

「うん。」

ヴァリギッドはジジョッタとユリアにヒノハナの種の選別を指示した。

「今回は結構大がかりな内容だ。残りの者全員は私とジビエラと共に狩猟を行う。場所は『リンカヘイム』に近い廃村だ。ターゲットは『カーボノイド』と『糞人形』いうアヤカシだ。いずれの残骸も肥料として使える。ただ、糞人形が出てくるという事は何より衛生面が重要になってくる。手袋に、鼻と口に布を巻いて事にあたれ。ケントとアジューリアに台車を任せる。」

「はい。」

「はい…。(糞人形…、何か嫌な予感…。)」

「うむ。」

「ジビエラ、了解なの!」

ヴァリギッドは残りの全員に自分達と共に狩猟に携わるよう指示を出した。アジューリアは複雑な気持ちだった。

「では、各自訓練にかかれ。以上だ!」



リンカヘイム…レッドガルドの火山帯のヘイム。カルデラに囲まれた火口には火属性のQGが眠っていると言われている。火山帯だけあって溶岩が地上に流出する災害もしばしば。

カーボノイド…レッドガルドに出没する溶岩に浸蝕された死体を魄とする火属性のアヤカシで、『炭人形』とも呼ばれる。手当たり次第燃やしていく為、鉄騎士団から駆除の対象となっている。かつて、レッドガルドでは『溶岩葬』『溶岩刑』があったが、カーボノイド発生の原因になる為、現在はいずれも禁止されている。

糞人形…各ガルドに出没する生物の糞を魄とする比較的小型の土属性のアヤカシ。糞にはBEが多いため、乾燥するとBEをまき散らし、感染症等の原因となる。その為、国境なき騎士団から駆除の対象となっている。

溶岩葬…かつてレッドガルドでよく行われた葬儀で、死者を溶岩に沈めて葬る。カーボノイド発生の原因になるため現在は火葬に差し替えられている。

溶岩刑…かつてのレッドガルドの最高刑で、罪人を生きたまま溶岩に放り込む極めて残酷な処刑法。人道に反するのは勿論、カーボノイド発生の原因になる事と相まって、現在は禁止されている。



両手に手袋をして、鼻と口に布を巻いた一行は廃村に向かった。ムスタンの背中に乗っているのはヴァリギッドで、ジビエラは相棒のホムライヌを連れている。

「シュバリア族の背中に乗るのも…、悪くないな。」

ムスタンに跨るヴァリギッドはご満悦だった。アジューリアはホムライヌを連れているジビエラに語りかけた。

「ホムライヌ…、とっても可愛いカムイですね。」

「ハウンド褒めてくれるのは嬉しいの!でも、ハウンド緊張してるの!」

「この子は…、もしかして人見知りですか?」

「そうじゃないの!あなたのカラーリングが水を思わせるの!」

ジビエラはホムライヌの緊張の原因がアジューリアの青系衣装が水を想起させるからと指摘した。

「ええ…、確かに私は水属性…。この子の身体は火で出来てる…、という事は緊張するのも仕方がないですね…。ハウンド、大丈夫よ。わたしは水属性だけど、あなたを害するような事はしないわ。」

アジューリアはホムライヌの愛称を添えて大丈夫と伝えた。しかし、ホムライヌは緊張を解こうとしなかった。

「『ハウンド』と呼んでいいのは、ハウンドと魂を通わせた人だけなの!ハウンドはまだあなたに心を許してないの!だから『ホムライヌ』と呼ぶの!」

ジビエラはアジューリアにホムライヌが心を許していないうちは『ホムライヌ』と呼ぶよう伝えた。

「そう…、わかりました…。」


一行が廃村に着くと、全ての建物を呑み込んだ溶岩が冷え固まった状態だった。

「ここが目的地の廃村だ。この村落に溶岩が流れ出て一夜にしてこの有様だ。寝静まった間に溶岩が流れて来たんだ…。村人全員溶岩に呑み込まれてカーボノイドとなって今に至る筈だ…。…と言ってる傍から奴らが来たようだな…。者共、狩りを始めるぞ!」

ヴァリギッドが廃村について一行に説明していると複数のカーボノイドと糞人形が一行に迫って来た。果たして一行は外敵を退けられるのか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ