表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
将軍王のココロザシ  作者: TAK
第一部第六章~ケントAU団始動
69/159

ヒノカヘイム

ケントAU団はケイブガルドからレッドガルドの鉄騎士団(アイゼンリッター)に向かっていた。レッドガルドの地質は鉄の匂いがする赤褐色の土でこのガルドの名の由来ともなっている。また、ケイブガルドに比べたら空がある分比較的明るいが、いつも雲で埋め尽くされているため陽が当たりにくい。その為、作物があまり育たず、産業は狩猟が主流だ。

「ここがレッドガルドか…。荒涼で殺伐としているな。」

「結構原始的な世界ね。でも、AUの訓練には恰好の場だと思うわ。」

「レッドガルドは赤のEL資源が豊富な世界です。」

「ケイブガルドに比べたら…、居心地は悪くないな…。」

「まるで何もない場所って感じでユリアつまんな…!あっ、お花だ~!」

退屈していたユリアは道端の花を見つけた。花には火が灯っており、茎には複数の棘がある。

「ねえ、この花何て花~?」

ユリアは道端の花について一行に尋ねた。

「これは、『ヒノハナ』という名前です。」

ユリアの質問に答えたのはジジョッタだった。

「ヒノハナ…?」

「はい、ヒノハナはこのレッドガルド原生の花です。火属性の花の為、花の中では珍しく水が苦手で、風を栄養源とします。花が咲くと火が灯り、火が消えた後の種は火薬の原料にも使用される事から赤のEL資源の一つとされています。茎の棘に触ると火傷するのは序の口として、下手に扱うと重大事故に発展する恐れがありますのでご注意下さい。」

ジジョッタはヒノハナについて説明した。ユリアは退屈そうだったが、ケントとアジューリアは興味深そうに聞いていた。

「聞いた、ユリア。この花は下手に触ると危ないって事よ。」

アジューリアはユリアに念を押した。

「…うん、ユリアわかった。やっぱり、お花さんも摘んだらかわいそうだもんね。」

ユリアは聞き分けた。


「さあ、ここからペンテヘイムまでの道程は…。ジジョッタ、わかるかい?」

岩陰でケントはジジョッタに目的地について尋ねた。

「はい。確かここは『ヒノカヘイム』で、ヒノハナが多く、狩猟も盛んなヘイムです。…という事は…、獣に遭遇する可能性がある…、ならばわたくしのELアビリティ『サイコインビジブライズ』で…」

「そんな小細工は要らぬ。」

岩陰に入って光学迷彩で不要な戦闘を避けながら移動しようというジジョッタの提案をムスタンが(さえぎ)った。

「ム…、ムスタン様…。」

ジジョッタはムスタンの強気な言動に動揺した。矢継ぎ早にムスタンは近くの獣の群れに斧で盾を叩いて挑発した。刺激された獣達は一斉に一行に向かって突進して来た。

「…ムスタン様…、正気ですか…?」

ムスタンの無謀とも取れる行動にジジョッタは更に動揺した。獣達の示威行動もそれに拍車をかけていた。

「ああ…、我は正気だ…。ELアーツ、『ハヤテぇぇぇ、ヘェェェッド、スプリィィィット』!!」

ムスタンはELアーツ『ハヤテヘッドスプリット』で突撃してきた一体の獣の頭を斧で真っ二つに屠った。

「これはもう…、やるしかないわね…。ELアーツ、『ハイドロスナイプ』!!」

アジューリアもムスタンに続くかの如く、ELアーツ『ハイドロスナイプ』で別の獣の額に青い矢を命中させて倒した。しかし、獣はまだまだいた。一部の獣が増援を呼んだのだ。ケントAU団は獣達に取り囲まれた状態に追い込まれた。

「何だか…、まずい事になってないか…?」

ケントはかなり動揺した。

「こんなに一斉に迫って来られたら…、お手上げね…。」

アジューリアも動揺は隠せなかった。近接戦闘が苦手並びに得物柄遠距離からの単発攻撃しかできない事も拍車をかけていた。

(しまった…、私の闇属性ELアビリティ『サイコインビジブライズ』は…、戦闘中は使えない…。このままでは…。)

「ユリアこんなの…、嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

ジジョッタも大いに動揺した。ユリアはジジョッタにすがりついた。

「くっ…、ここまで多いとは抜かったか…、いや、これでこそELアーツの繰り出し甲斐があるというものよ!」

ムスタンは一瞬動揺したが、開き直って再びELアーツを繰り出す準備に入った。ところが、火を帯びた矢が一体の獣を捉え、全身が火の猟犬が別の獣に噛みつき火だるまにしていった。そして残った獣達は退散していった。


「全く無茶な真似をする者共だな。」

極めて強気な女性の声がした。一行が声のする方を見てみると、クロスボウを携えた大柄かつ屈強な身体にて褐色肌で吊り目かつ短髪の女性と、彼女と対を為すかのように二振りの短剣を携えた小柄で尖り耳の褐色肌で片方の目が髪で隠れた女性の二人がいた。果たして彼女達は一体何者だろうか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ