AU団結成
バイオレットナイツ本部の応接室で、サキュバーナはケント達一行に一つの案件を持ちかけた。
「あなた達、結構人数揃ってるわね。それで、あなた達もそろそろ『AU団』を結成しても良い頃合いだと思うの。」
サキュバーナはAU団の結成をケント達一行に提案した。
「AU団…?」
「ええ、まずは団長を決めないとね。団長に相応しいと思うのは誰か…。ジジョッタ、あなたが指名して。」
サキュバーナはジジョッタに新たなAU団の団長の指名を促した。
「…わたくしは…、ケント様が団長に適していると思います…。」
「ジジョッタ、何故僕が…?」
ジジョッタに指名されたケントは自分が指名された理由を尋ねた。
「ユリアがわたくし達に同行する際、きちんと伝えるべき事を伝える様を見ての事です。きちんとした信念のない者に団長が務まる筈がありません。」
「わたしもケントに賛成ね。」
「我も賛成だ…。」
「ユリアもケント兄ちゃんにさんせ~い!」
一行はケントが団長を務める事に賛成した。
「団長はケントで決まりね。では、次は副長を指名して。」
サキュバーナは今度は副長の指名をジジョッタに促した。
「…副長は…、アジューリア様が適していると思います…。」
「どうしてわたしが副長に…?」
アジューリアは自分を副長に指名する理由をジジョッタに尋ねた。
「あのはぐれAUに、どこが抵触していたのかをきちんと伝えた点です。その筋の通っている点が副長向きだとわたくしは思います。」
「僕も賛成だ。」
「我も…。」
「ユリアもさんせ~い!」
皆もアジューリアが副長を務める事に賛成した。
「副長はアジューリアね。では、他に係を決めましょう。今度はケント、団長であるあなたが決めて。」
サキュバーナは残りの団員の係の振り分けをケントに促した。
「まずジジョッタから…、参謀が妥当だな。」
「わたくしが…、参謀…?」
「君は常々何かを察知し、然るべき対処を怠らない、利発さと聡明さを兼ね備えたメイドだ。そんな君を参謀に据えずして何に据えるんだい。」
ケントはジジョッタを参謀に据える理由を述べた。
「ケント様…、このジジョッタ、参謀役を慎んでお受け致します。」
ジジョッタは快諾した。
「今度はムスタン様ですね…。」
「ケントよ…、我に敬称は要らぬ…。今のぬしの方が我より序列は上だからな…。」
ムスタンは自分より上の序列のケントに敬称は不要だと伝えた。
「わかった…。ムスタン、あなたには…、結構な体躯と勇猛なところから警護が適しているね。」
「我が警護か…。異論はない…。」
ムスタンも快諾した。
「ケント兄ちゃん、ユリアは何の係になるの?」
唯一残ったユリアはケントに自分が何の係になるか尋ねた。
「君には何の係が合ってるか…、なかなか思いつかないや…。」
ケントはユリアにどんな係が合ってるかわからなかった。
「…諜報が妥当だと思います。」
ユリアを諜報係に奨めたのはジジョッタだった。
「彼女はレスティーンの少女の姿から怪しまれにくい為諜報、すなわち情報収集に打ってつけです。それに、参謀の仕事も捗ります。つまり、参謀であるわたくしの補佐という事です。」
ジジョッタはユリアが諜報に適している理由を述べた。
「うん、ユリア情報収集頑張る!ジジョッタ姉ちゃん支える!」
「ありがとう、ユリア…。改めて宜しくお願いします…。」
ユリアも快諾し、ジジョッタも彼女を抱擁した。
「これで係決めは終わったわね。次は団名を決めましょう。」
サキュバーナは新AU団の団名を決める事について提案した。
「『ケントAU団』ってのはどう?」
ユリアが真っ先に提案した。
「!…」
「悪くないわ。」
「悪くないと思います。」
「悪くない…。」
ケントは複雑な気持ちであるが他の団員は賛成した。
「ケントAU団で決まりね。AU団にもエンブレムが必要になるわね。それで、デザインについて考えているかしら?」
サキュバーナは今度は新AU団のエンブレムについて提案した。
「デザインなら僕が考えてます。」
ケントはこう申し出、ペンで白紙に『志』の文字を書いた。自分の愛剣ココロザシにも刻まれている文字だ。
「『ココロザシ』…、僕はこれを胸に生きてきました。」
「サクラヘイムの字ね。わたしにもわかるわ。わたしのシノビはサクラヘイム発祥の職業なの。」
サキュバーナもサクラヘイムの字に恍惚としていた。
「サクラヘイムの字のエンブレム…、結構粋な感じね。」
「悪くないです…。」
「悪くないな…。」
「ユリア良く分からないけど、かっこいいと思うな!」
ケントの考えたエンブレムのデザインに皆釘付けとなった。
「では、これでケントAU団結成ね。AU屋敷で更新の手続と荷支度したらいよいよ出発よ。」
「今日は色々ありがとうございました。」
ケントAU団は本部を後にして、AU屋敷でAU団の各手続と荷支度をしていった。ケントAU団がケイブガルドを出発する刻が刻々と迫っていた。




