真実と向き合う覚悟
モータロイドのユリアはケント達一行に同行を申し出た。
「うん、いいよ。ただ…、約束して貰いたい事があるんだ。」
ケントは条件付きで承諾した。
「うん…、約束して貰いたい事って何…?」
「僕達の旅は結構危険なんだ。絶対に僕達の傍を離れないで欲しい。それともう一つ、君は兄に会いたいと言ったけど、不本意な形で兄と会ったとしても動じない覚悟はあるか?」
ケントはユリアに自分達の傍を離れない事を伝えると同時に、兄との再会がどんな形であれ動じない覚悟があるか尋ねた。彼女の兄とは敵としての面識がある為、彼女とも敵として会う可能性がある事を考えての事だ。
「『皆の傍を離れないで』はわかったけど、『動じない』って何?」
ユリアは動じないという言葉について尋ねた。
「『戸惑わない』という事よ。」
アジューリアが答えた。
「うん、ユリア戸惑わない。ベム兄ちゃんとどんな会い方でもいいから会いたい。」
「じゃあ、覚悟があるって事だね。それから、もう一つの覚悟も必要なんだ。」
ケントはユリアがどんな形で兄と会っても動じない覚悟がある事を確認し、別の覚悟も必要である事を伝えた。
「もう一つの覚悟…?」
「兄と再会する事は『真実を知る事』なんだ。その覚悟があるのはわかった。今度は兄に真実を伝える覚悟があるかという事。つまり、真実と向き合う覚悟があるかを聞いているんだ。」
ケントはユリアに真実と向き合う覚悟があるかを尋ねた。
「うん、覚悟ならあるよ。ベム兄ちゃんに伝えたい事がいっぱいあるからね。」
ユリアは覚悟がある事を皆に伝えた。
「よし、じゃあ決まりだ。これから君も僕らの仲間だ。宜しく頼むよ。」
「改めて宜しくお願いします。」
「これから宜しくね。」
「宜しく頼む…。」
「うん!」
こうしてユリアもケント達一行に正式に加わった。間もなく、バクットがケント達一行の前に現れ、ジジョッタとユリアに同行を促した。
「皆さん、わたくし達は失礼します。」
バクットは二人を菫の里の刑務棟へ誘った。刑務棟の中にはサキュバーナがいた。
「よく来たわね。実は、あのはぐれAUがあなた達と話をしたいという事なの。」
「はい…。」
サキュバーナは面会室に二人を案内した。仕切りの向こうには囚人となったクロードがいた。
「会いたかったぜ、お二方。」
ジジョッタとユリアは少し戸惑い気味だった。果たして二人とクロードはどんな話をするのだろうか?




