可愛い道案内
グウレイアによってケイブガルドへ送られた一行。一行が着いた場所は真っ暗な鍾乳洞の中で、後ろを振り返るとグウレイアは水を介して戻っていった。鍾乳洞の水底にはアメシストが淡く光っており、多くの蝙蝠の羽がついたバクのような生き物が淡い紫色の光を発しながら飛び回っていた。
「ここがケイブガルド…。真っ暗なのになぜか綺麗だ…。」
ケントは他のガルドと違う雰囲気に驚いていた。
「うむ…、陽が射さぬ故か森林らしき物がなくてどこか落ち着かぬな…。」
ムスタンも地上と違う雰囲気のケイブガルドに違和感を感じていた。
「ふふっ…、とっても綺麗な景色…。そして何より可愛い生き物ね~。何て生き物かしら?」
アジューリアは神秘的な景色と蝙蝠とバクの融合した生物に恍惚とした。
「『バクット』と言って、闇属性のカムイです。蝙蝠とバクが合体したような姿から『コウモリバク』とも呼ばれています。下位のカムイですが、頼もしい事は確かです。」
アジューリアの質問に答えたのはジジョッタだった。
「あなた、バクットと言うのね。うふふ…。」
アジューリアは一体のバクットを抱っこした。彼女に抱かれたバクットも嬉しい様子だ。
(アジューリア様は結構可愛いものが好きなのか…。意外と可愛いな…。)
ケントはアジューリアが可愛いものに恍惚とする様に見とれていた。
「…それより…、今はバイオレットナイツに向かうのが先決だが…、まるで迷路のようで不安だな…。」
ムスタンはバイオレットナイツに向かう事が先決だと述べると同時に迷路のような場所で少々戸惑っていた。
「そんな時は、ここのバクットに頼みましょう。『困った時のカムイ頼み』という事で…。」
ジジョッタはバクットに任せる事を提案した。
「ねえ、わたし達これからバイオレットナイツに向かうところだけど、道案内して貰えないかしら?」
アジューリアは一体のバクットに道案内をするように頼んだ。バクットは頷いた。承諾してくれて一行は安堵した。
「お待ちください。万一に備えて複数連れておくのが吉だと思います。」
ジジョッタは案内して貰う際に複数連れておく事を提案した。
「そうね。一体だけじゃ淋しいものね。いっぱいいるとワクワクするわ。」
アジューリアもジジョッタの提案に快諾した。かくして一行は三体のバクット達の案内でバイオレットナイツに向かう事となった。
しかし、バイオレットナイツに向かう途中で一行は一人のレスティーンの女性が倒れているのを目撃した。彼女の肌は青白く、黒い衣服を着用しており、まるで死人のような雰囲気だ。
「君…、大丈夫か…?」
ケントは彼女を軽く揺り起こした。彼女は目を覚ますと虚ろな表情で口を開いた。
「…ベム兄ちゃん…、…どこ…?…ユリア…、…会いたい…。」
(!!…『ベム兄ちゃん』だって…!?…という事は…、彼女は…、BBB団の…、ベムの…、妹か…!?)
ケントは突然の彼女の言葉に動揺した。聞き覚えのある名前もそれに拍車をかけていた。




