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将軍王のココロザシ  作者: TAK
第一部第四章~ミストヘイムの戦い
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グラント=ゼング将軍

グラント将軍の所望する『サクラの死』の計らいがBT陣営の旗艦で行われた。グラント=ゼングは白装束を纏っていた。

「…ではグラント=ゼング将軍…、…誰に介錯をお願いしますか…?」

マキュリーナは介錯を担当する相手についてグラント将軍に尋ねた。

「…わしを敗ったシュバリアの戦士にお願いしたい…。」

グラントは一騎討ちの相手だったムスタンに介錯を頼んだ。

「…では…、…辞世の句は誰に詠んで貰いますか…?」

今度は辞世の句について尋ねた。

「…弓箭に秀でし女にお願いしたい…。」

グラントは歌詠みをアジューリアに頼んだ。

「…わかりました…。」

マキュリーナは承諾した。


そして、小舟には脇差と歌を書くための『サクラ紙』に墨を入れた硯と筆が用意され、グラントと介錯の刀剣を携えたムスタンと詠み手のアジューリアがその舟に乗った。その光景をBTとBBB団捕虜が見守っていた。

「…では…、…辞世の句を…。」

アジューリアはグラントに辞世の句を書くよう促した。グラントは霧を眺めながらも妙に落ち着いた様子で辞世の句を書いた。辞世の句を書き終えるとアジューリアに辞世の句が書かれたサクラ紙を渡した。

「…霧の奥…、…見果てぬ夢よ…、…今いずこ…、…平和なる刻…、…ただ願ふのみ…。…グラント…、…ゼング…。」

アジューリアはグラントが書いた辞世の句を詠んだ。

(BBB団…、目的の為なら手段を選ばない者達の集まりだと思ってたが…、意外にも平和を願う者もいるんだな…。)

ケントはBBB団にも平和を願う者がいる事を意外に思った。



サクラ紙…サクラヘイム製の紙。ブルドラシルではデクード紙が主流であるが、サクラヘイムでは原生の草から作られ、アースガルドでは『和紙』と呼ばれる。



アジューリアが辞世の句を詠み終えると、グラントは脇差を手に取り、鞘から抜いた。そして、脇差を自らの腹に突き立てた。

「!!…ぐぐっ…!…さあ…、…介錯を…。」

ムスタンは刀を構えた。

「…ご免!!」

「!!…」

そしてグラントを介錯した。

(!!…ヨシーナ様が居合わせてなかったのがせめてもの救いか…。…ただ…、…やはり人の死は…、…いつ見ても…、…心地良い物ではないな…。)

ケントは複雑な気持ちでいっぱいだった。かくしてサクラの死の儀は終わった。


例の儀の後、戦いの後始末が行われ、BBB団の捕虜は解放された。そして、BTはアクアポリスへ帰還していった。

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