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将軍王のココロザシ  作者: TAK
第一部第四章~ミストヘイムの戦い
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霧に煙る砦

BTはいよいよミストヘイムのBBB団本拠に迫った。ミストヘイムは霧がかかっており、施設どころか島すらも視認しづらい。そのため、各艦には霧の中でも視認できるようウンディーネが一体配置されており、ミストヘイムでも迷う事なく移動できるのだ。アジューリア率いる救出部隊はミストエレナ島を目標に舵を取っていた。


救出部隊の艦の船室ではアジューリアによる隊単位の小軍議が行われた。勿論、ケントもムスタンも交えてだ。ウンディーネはその小軍議のやり取りを記録している。

「ミストエレナ島に着岸する際は砦から離れた位置にしましょう。そこなら、砦からの攻撃が届きにくいはずよ。」

「しかし、隊長…。救出対象がレスティーン達ですよ。彼らにこの距離はいささか過酷すぎませんか?脱出の際に追っ手に追い付かれるのが関の山かと存じます。」

BTの一人がアジューリアの作戦に疑問を投げかけた。

「心配いらぬ!その追っ手どもを我が一網打尽にしてくれよう!」

その疑問を打ち破るかのように勇猛なムスタンは自信満々に申し出た。それに呼応するように兵達の士気も高揚した。

「これで決まりね。各々方、努々(ゆめゆめ)ご油断めされぬよう。では、この軍議の記録を旗艦のグウレイア様に送って。」

軍議を終えたアジューリアはウンディーネにグウレイアを通じて旗艦に情報を送るよう促した。

「はい。」

ウンディーネの左胸の雫の紋章が七色に光り出した。


一方、マキュリーナをはじめ、200人近くの兵を乗せた旗艦では、彼女の傍にある大きめの青い玉が七色に光り始めた。青い玉は大きい雫の紋章の透かしが施されている。

「グウレイア、どうしたの?」

青い玉の正体は化身を解いたグウレイア、そう、グウレイアの魂を宿した『ELコア』だった。その状態だと持ち運びがしやすい、いや、化身した状態だと外に出る際目立つため戦闘時でない限り化身を解いた方が比較的安全だ。



ELコア…カムイの魂を宿したEL結晶体。カムイはELコアを通じて特定の自然界の物質を魄に化身する。ELコアは直接攻撃を受けると『エマージェンシーフィールド』が働くため、コアが破壊される事は滅多にない。ただ、下位のカムイにはフィールドが働かず、『死』の概念がある。

エマージェンシーフィールド…ELコアに必ず装備されているEL機能で、略して『EF』。カムイは化身が解ける程に破壊されても、コア自身が破壊される危険に及ぶ場合はEFによって衝撃等を防ぐ。



「救出部隊のウンディーネより方針が送られて来ました。その情報によれば、砦の近くだと船が攻撃を受ける危険性があるため、砦から離れた位置に上陸し、脱出の際に勇猛なシュバリア族の男性が殿(しんがり)を務めるとの事です。」

化身を解いているグウレイアはマキュリーナの雫のチョーカーを通じて語りかけた。カムイはELコアの状態だとELエムブレム等のELアイテムを通じての会話しかできないのだ。

「方針は悪くないわ。ただ…、殿をAUに任せるのはいささか…。でも、背に腹は代えられないわね。グウレイア、各艦のウンディーネに『各自作戦を開始なさい!それではご武運を。』と通達して。」

「ふふ…、わかりました…。」

コアは再び七色に光り出した。


いよいよ、霧の向こうにミストエレナ島が見えてきた。救出部隊は作戦通りに着岸し、ウンディーネを艦に残し、アジューリア達は半数の兵を率いて上陸した。ケントもムスタンも彼女と共に20数名のレスティーンが囚われている砦を目指していった。

(久しぶりの救出作戦だ…。今度こそ誰一人犠牲にする事無く成功すれば良いのだが…。)

ケントは以前の同じ目的の作戦の事を少し引きずっていた。間もなく救出部隊は砦に突入。その砦で思いもよらぬ人物と再び相まみえる事をケントは微塵も想像できずにいた。

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