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将軍王のココロザシ  作者: TAK
第一部第四章~ミストヘイムの戦い
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軍議

アクアポリスの大会議室で、軍議が開始された。

「ミストヘイムにあるBBB団の拠点内のレスティーン救出作戦には、BT保有の軍船を四隻出撃させます。うち一隻は20数名のレスティーンが囚われているミストエレナ島へ救出に向かいます。私が乗る旗艦はミストエレナとミストヘルバの間に位置取りをし、残りの船はBBB団本拠があるミストヘルバ島を包囲してBBB団の注意を自分達に向けさせます。その間にミストエレナの救出部隊はレスティーンを救出するという作戦です。救出が完了したら救出部隊は即撤収。旗艦はそれを確認した上で信号弾を発射。信号弾を確認した包囲部隊は少しずつミストヘルバ島から撤退。BTの皆もわかっていると思うけど、BBB団はドロップナイツ、いやブラーガルドに仇なすブラック組織。しかし、今回の戦いはBBB団に囚われている要人救出が目的で、BBB団を壊滅させるための戦いではない事を念頭に置いて行動なさい。」

「はっ。」

マキュリーナは作戦の内容のついでに相手を壊滅させるのが目的でない事を一同に伝えた。


「次は人選においてです。救出部隊のリーダーはアジューリア。さ、前に出て。」

「はい。」

アジューリアはマキュリーナに促され前に出た。

「それから、要人救出の依頼を受けたAUは二名です。ムスタン、ケント。あなた達も前に。」

「はっ…。」

「はい。」

ムスタンとケントもアジューリアの近くに出た。BTのケントへの視線が集まる。

「シュバリア族の男はともかく、ニュートラルのティーンに救出任務が務まるのかよ…。」

「ティーンの方は人選を間違えたのか…、いやそれとも報酬目当てにこんな無謀な依頼を引き受けたのか…。」

「ティーンの方は軽率にも程があるだろ。英雄ごっこもいい加減にして欲しいね。」

BT一同は一見頼りなさそうなケントに対して冷ややかだった。

「静まりなさい!」

マキュリーナはざわざわした兵達に一喝した。

「ムスタン、ケントの両名はアジューリアの指揮下に入り救出任務にかかりなさい。」

「はっ…。」

「はい。」

「アジューリア、二人を頼んだわ。」

「お任せ下さい。」

マキュリーナはアジューリアを救出部隊の指揮官に任命し、ムスタンとケントを彼女の配下に組み入れた。

「部隊の編制に入る前に、この救出部隊の件で気になる事はありませんか?」

マキュリーナは最終確認を取った。BTの中から一人が挙手した。

「はい、何か?」

「団長、この二人についてですが、シュバリア族の方は歴戦の戦士という感じで信頼に値するけど、ニュートラルのティーンの方は信頼出来るのでしょうか?見たところ特に大きな活躍もしてなさそうな感じですが。」

一人の兵士の言葉にケントは一瞬動揺した。次の瞬間、

「このティーンは以前…、救出任務を受けて見事成功させた実績がある…。頼りなさそうな者だが…、支え合えばいかなる事も必ず成功する…。寧ろいかに最強の戦士とて…、支え合わねば必ず滅びる…。我はそう信じる…。」

ムスタンはアクアポリスに向かう前のケントとの会話を用いて兵達にケントの実績と自分の処世術を伝えた。彼の真っ当な言葉にケントを軽んじていた兵達は舌を巻いた。

「聞いたかしら?支え合う事が大切という事よ。彼らならきっと成功させてくれる。わたしはそう信じているわ。」

「はい…。(団長が仰せなら致し方ないか…)」

異を唱えた兵士は内心納得できない様子で席に戻った。

「他にないわね。なら、これより編成に入ります。」

マキュリーナは各隊の編成を開始した。


無事に編成も終了し、アクアポリスの下の軍港では兵達はそれぞれ決められた船に乗っていった。デクード材で出来た各船にはドロップナイツのシンボルである、白地に青い雫の旗が掲げられており、ウンディーネも一体ずつ乗っていた。ムスタンとケントがアジューリアと一緒に乗った船の兵の数は10人程度だった。

「ムスタン様、先程はありがとうございました。」

ケントはムスタンが軍議で自分の事を擁護してくれた事に感謝した。

「礼には及ばぬ…。我は部族の教えを伝えただけに過ぎぬ…。それがたまたまぬしの擁護に至っただけの事…。」

間もなく全隻はミストヘイムに出航。果たしてケント達は無事に要人を救出できるのか!?

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