作戦会議
一夜明けた朝、アクアポリスではドロップナイツとBTによる会議が行われていた。
「先日、偵察に赴いたウンディーネの記録をグウレイアに解析して貰ったところ、子供達が囚われているのはミストヘイムの『ミストエレナ島』の収容所である事が判明しました。」
マキュリーナは偵察で得られた情報について報告した。
「ミストエレナ島って…、確かBBB団本拠地であるミストヘルバ島の隣に位置する、ティーン兵の養成施設がある島ですよね…。」
「ええ。BBB団は拉致した子供達をも兵…、いや駒として扱うブルドラシル有数の『ブラック組織』…。何としても子供達を救出しましょう。そして、親元に帰してあげましょう。ドロップナイツの名にかけて!」
マキュリーナはドロップナイツ並びにBT全体に働きかけた。
ブラック組織…私利私欲等、目的の為ならば手段を選ばない組織で、各国境なき騎士団からの経済制裁の対象になりやすい。略奪、虐殺、人身売買、レスティーンの労働・兵務並びに訓練従事、武器・兵器・薬物の密造・密輸・密売等に関わる組織がこう呼ばれる。
「団長、まずは作戦を立てるのが先決です。」
「ええ。収容所の子供達を救出するには、彼らの注意を収容所以外にそらしておく必要あり。それには隊を分散させて、遊撃部隊と救出部隊に分ける。遊撃部隊はミストヘルバ島を狙うように見せかけて兵を誘導。兵の注意がミストヘルバ島に向いている間に救出部隊がミストエレナ島に上陸して子供達を救出。遊撃部隊の艦は本拠の施設に近づけばいいが、救出部隊の艦は施設からやや離れた場所に停める。子供達の救出が完了したら救出部隊は即撤収、遊撃部隊は合図があったら徐々に撤退。この作戦について何か意見はありますか?」
「はい。遊撃部隊はともかく、救出部隊は少数精鋭が望ましく思います。正規兵ではありませんが、AUから募るのが吉かと存じます。その救出部隊に私をご指名下さい!」
マキュリーナの作戦立案に意見を述べたのはアジューリアだった。
「アジューリア、確かに救出部隊は施設に乗り出すからAUによる少数精鋭が吉ね。でも、将がAUを率いるには結構な責任が必要よ。あなたにその覚悟はあるの?」
「はい、覚悟なら大いにあります。」
「わかったわ。では、AU会館に仕事の依頼を出して。『急募、要人救出、報酬は手取り16KG、武器は各自準備、詳しくはアクアポリスまで』と。依頼費は後払いでね。」
「はい、団長。」
マキュリーナは他のドロップナイツの一員に仕事の依頼の手続きを命じた。
一方、AU会館の依頼の窓口でケントは受付のウンディーネとやり取りをしていた。
「ケント様、今日はどの依頼を受けますか?」
「今日もAU会館内で出来る仕事をしたいのですが…。できれば購買部以外で…。」
「それならマミーカフェがありますよ。業務内容は厨房での食器洗いと清掃、報酬は60ゲルダで手取り48ゲルダになります。」
「今日はそれに致します。」
「わかりました。」
ケントは依頼の書類を受け取り併設の食堂に向かった。果たしてケントは厨房での仕事を無事にこなせるのか?




