雫の騎士団とBBB団
アクアポリス内の会議室ではマキュリーナを団長とするドロップナイツ並びにその直属のBTによる会議が行われていた。
「団長、最近のBBB団の蛮行は目に余る物があります。普段は資産家等の富裕層や旬の農作物を狙った略奪が大半でしたが、今は拉致の方が増えています。彼らによって拉致された20数名について調べたところ、スラムに集中しており、レスティーンかつニュートラルの男性が標的になっております。しかもBBB団お馴染みの相手を霧に巻く例の方法で…。」
「つまり、スラムに住むニュートラルの男児達が霧に巻かれて連れ去られているというわけね。アジューリア、先日の件についてお話しなさい。」
マキュリーナはアジューリアに先日の件について話すよう促した。
「はい。先日アクアヘイムとグルンガルド間の街道で、旅人の一行がBBB団のティーン兵の襲撃に遭ったという事態が発生しました。被害者はAUとしての訓練中のティーンの男性とメイドで、犯人は一行を霧に巻いて男性を拉致しようとしたところ、すんでのところで連れのメイドによって阻止されたとの事です。」
アジューリアはケント達の襲撃の一部始終を話した。
「聞いたかしら。BBB団はAUをも自分達の駒にしようという腹よ。『子供とAUはブルドラシルの宝』と言われているし、ドロップナイツ、いや国境なき騎士団はAUを育む役割も担っているから他人事で片付けるわけにはいかないわ。今後のためにも何か手を打つ必要がありそうね。」
「団長、被害者の家族から被害届が多く寄せられています。」
ドロップナイツの一員がマキュリーナに多くの被害届を渡した。マキュリーナはそれらに目を通した。
「『一日でも早く子供を助けて欲しい』…、その気持ちわからなくもないわ。子供達を救出するにはBBB団の施設に乗り込まないといけないわね。確か彼らの拠点はミストヘイム…、という事はそこへの調査が必要ね。しかし、そこは霧の多い危険な場所…。やはり誰かの犠牲が必要なのかしら…。」
「団長、そういう場合はウンディーネが適任かと存じます。霧の中でも見渡せるのは勿論として、危険な場所での行動もカムクリなら生命の危険はありません。」
ウンディーネの投入を提案したのはアジューリアだった。
「やはり、ウンディーネね…。造られた存在とはいえウンディーネもカムイと同様に大切な相棒…。一体でも手放すのは少し抵抗があるわ…。」
マキュリーナはウンディーネを偵察に出す事を躊躇した。
「しかし、それしか方法はない。そうですよね!?一刻も早く子供達を救うには躊躇している場合ではございません!団長、どうかご決断下さい!」
アジューリアはマキュリーナに必死に懇願した。
「団長、お願い致します!」
「それがしからも!」
「団長!」
アジューリアに続いてドロップナイツやBTの者達も連座した。
「わかったわ。一刻も早く子供達を親元に帰してあげないとね。」
マキュリーナはウンディーネを偵察に出す決心をした。
一方、ケントはAU会館内の依頼の受付のウンディーネとやり取りをしていた。
「施設内が場所となる依頼ですか?」
「はい。外に出ないで出来る依頼はないでしょうか?」
「…そうですね…、施設内の仕事なら…、購買部の仕事がございます。報酬は1日60ゲルダで手取り48ゲルダとなりますが宜しいでしょうか?」
「はい。それでお願い致します。」
ケントは快諾した。果たしてケントは無事に購買部の仕事をこなせるだろうか?




