サクラヘイムでの初訓練
一夜明け、三人はヒジリの元に集まった。
「うむ、それでは訓練の内容についてお伝え致そう。まずムスタンにはフシノキ刈りをして貰おうかの。ケントには刈ったフシノキの運搬じゃな。それから、引率は桜の武士団管轄の林業組合の元締、『ダゲ』にして頂こうかの。」
「うむ。」
「はい。」
ヒジリはケントとムスタンにフシノキ刈りの訓練を科し、二人が頷くと、サクラヘイム独特の衣装をしたドワーフが二人の元にやって来た。
「お初にお目にかかる。わしはドワーフのダゲじゃ。ぬしらのフシノキ刈りの引率を致す。感謝するが良い。」
「それがしは志の騎士団団長のケントと申します。宜しくお願い致します。」
「我は風の部族シュバリア族のムスタンだ……。何卒良しなに……。」
ケントとムスタンはダゲと互いに自己紹介をした。
「それからアジューリアには、『マキワラ』をして貰おうかの。」
ヒジリはアジューリアにマキワラの訓練を科した。
「マキワラとは一体何でしょうか?」
アジューリアはマキワラが気になった。
「サクラヘイムにおける弓術の訓練じゃよ。ワラを俵状に束ねた物に矢を放つのじゃ。それからサクラヘイムの弓はフシノキで出来ておる。威力も他のヘイム、いや他のガルドに遅れは取らぬ分、扱うには人を選ぶ。お主は筋が良さそうじゃな。わらわが直接伝授致そう。」
「ありがとうございます。」
アジューリアは感謝した。
「それでは、解散じゃ。」
ケントとムスタンはダゲ引率の元フシノキの林に向かい、アジューリアはヒジリ引率の元、城内にある弓術の訓練場に向かった。
ヒジリが見ている中、アジューリアはフシノキで出来た弓にマキワラ用の矢を番えて近距離にある台の上の俵状の物に向けて矢を放っていた。
(フシノキの弓……、今まで手にした弓よりも遥かに重いわね……。でも……、これを扱えるとヒッタイトの板も穿てそうな気がするわ。)
アジューリアはフシノキの弓が今まで扱った弓より重くて驚くと同時に威力も感じた。
「ここがフシノキの林じゃ。」
「これがフシノキの林……。かなりしなやかそうだ……。」
「うむ……、デクードと互角にて一長一短ありそうだな……。」
一方、ケントとムスタンはダゲ引率の元フシノキの林に着いた。
果たしてケント達はフシノキ刈りをこなせるのか?




