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将軍王のココロザシ  作者: TAK
第二部第一章~ココロザシの地へ
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ヒジリの試練

 桜の武士団長ヒジリにサグラダ城の奉行所に案内されたケント達であった。


「うむ。水の聖女よ、そちは戻って良いぞ。」

「承知しました。おのおの方に水の加護がありますように……。」


 ヒジリに促されたマキュリーナはサグラダ城を後にした。ケント達も彼女を見送った。


「それではぬしらに訓練を科すのじゃったのう……。まずはムスタンなる人馬族の者よ。」

「うむ。」

「ぬしの体躯からして……、フシノキ刈りにそれらを使用した産業に従事して頂こうかのう。」

「林業の心得なら我もある……。喜んで従事致そう……。」


 ヒジリはムスタンの訓練に林業を科し、ムスタンは快諾した。


「さて、次はアジューリアなる泉の狙撃手の娘じゃな。」

「はい。」

「ぬしには『ヤブサメ』の訓練が打ってつけじゃな。」

「ヤブサメとは一体……?」


 アジューリアはヤブサメが気になった。


「馬に乗りながら弓矢を扱うのじゃよ。通常なら弓矢は静止せねば放てぬ欠点があるのはご存じじゃな?」

「はい。弓矢は放つまでの過程で狙われる恐れがある事は承知しております。」

「だからこそじゃ。ヤブサメを物にすれば馬で移動しながらの射撃もできるぞ。ただ……、落馬等で結構危険な訓練じゃよ。泉の狙撃手よ、ヤブサメの訓練を受ける覚悟はあるな!?」

「はい、鍛え上げたこの身体にかけて物にしてみせます!」

(なるほど……、結構筋の良い感じじゃな……。)


 アジューリアはヤブサメの訓練を受ける事に快諾した。


「最後に、ケントなる志を背負う者じゃな。」

「はい。」

「ぬしには……、そうじゃな……、『サクラ剣術』を科すとしよう。」

「サクラ……、剣術……?」


 ケントはサクラ剣術が気になった。


「そうじゃ。サクラ剣術はサクラヘイム産の剣『カタナ』を使った剣術じゃ。このサクラヘイムには様々な流派が存在し、構えや奥義等流派の数程あるのじゃ。いかがか?」

「はい、それがしは強くなりたいです。自分の手で……、皆を守れるように……。」


 ケントはサクラ剣術の訓練を受ける事に承諾した。


「なら決まりじゃな。ただ……、いつも例の訓練ばかりじゃつまらぬじゃろう……。そこで、もう一つの訓練も科すとしよう。」

「もう一つの訓練!?」


 ケント達はもう一つの訓練について気になった。


「うむ、まずは人馬族のムスタンからじゃな。ぬしは……、アジューリアのヤブサメの相手じゃ。」

「承知致した……。」

「次、泉の狙撃手よ、ぬしはどのような訓練を望む?」


 ヒジリはアジューリアに第二の訓練について尋ねた。


「私は……、キモノを織ってみたいです。」

「『ハタオリ』じゃな。では、志を背負う者よ、ぬしはどうじゃ?」


 ヒジリはケントにも同じ質問をした。


「それがしは……、このサクラヘイムの学問全てです!」

(えっ……!?)

(むっ……!?)

(ふふ……。)


 ケントはサクラヘイムの学問全てと答え、アジューリアとムスタンは動揺し、ヒジリは口元を吊り上げた。


「おぬしは謙虚な性格に似合わず欲張りじゃな。じゃが……、そういうのわらわは嫌いではないぞ。そうじゃな……、おぬしには写本をして貰おうかのう……。あと、ムスタンと共に林業にも従事して貰うとしよう。」


 ヒジリは自らを高めようという事に貪欲なケントを称えつつ、彼の第二の訓練に写本と林業を科した。


「承知しました。」


 ケントは快諾した。


「さて、これより掃除をして貰おうかのう。」


 ヒジリはケント達に掃除を指示した。果たして、ヒジリの意図は?

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