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将軍王のココロザシ  作者: TAK
第二部第一章~ココロザシの地へ
156/159

桜の武士団

 サクラヘイムのサクラ並木を抜けると、サクラヘイム独特の建物が並んでいた。

 木造の建物の屋根には無数の瓦が積まれていた。

 ケントは見た事のない建物に釘付けとなった。


「ケント、サクラヘイムの建物がそんなに珍しいかしら?」


 マキュリーナはケントにサクラヘイムの建物について尋ねた。


「はい、今まで見た事のない建物でしたから……。木材でもしっかりした建物が出来るんですね……。」

「ええ、サクラヘイムにおける木材を使用した建築技術はブルドラシル一と言われている程よ。まあ、他の地で木材を使うのは村や里くらいだけどね。」

「確かに僕等の地では石積みが主流ですね。王侯貴族の邸は石材をふんだんに使いますから。」

「わたし達雫の騎士団の拠点であるアクアポリスも大理石を使っているわ。!……あそこよ、あなた達がこれから訓練を受ける拠点。」


 マキュリーナは建材の話題でケントと語り合う中、大きな建物を指さした。

 そこにはサクラヘイム独特の大きな建物が立っていた。

 屋根の両脇には魚の彫像が載っており、荘厳さを醸し出している。


「……見たところ大きな建物ですね……、もしかして……、城の類……?」

「ええ、サクラヘイムの城『サグラダ城』よ。ここが『桜の武士団』という国境なき騎士団にあたる組織の本拠なの。」


 マキュリーナは桜の武士団とその本拠『サグラダ城』を紹介した。


「僕達、ここで訓練を受けるんですか?楽しみになりました。」

「ええ、あなた達がこの一年でどこまで成長するか楽しみね。」


 ケントは見た事もない光景にサクラヘイムでの訓練意欲をかきたてられた。



 そして、馬車はサグラダ城に到着し、一行が門に差し掛かると槍を携えた二人の門番がいた。門番は笠を被っており、顔が良く見えない状態だ。


「これはこれは……、いかなる御用でしょうか?」

「わたしは雫の騎士団団長マキュリーナ。あなた達桜の武士団に連れである志の騎士団のケント、アジューリア、ムスタンの三名に訓練を科して貰いたいの。団長にお目通り願えないかしら?」


 マキュリーナは雫の紋章と桜の紋章を門番に掲示して用件を伝えた。


「承知しました。これよりお取次ぎ致します。暫くお待ち下さい。」


 門番の一人が城の中に入った。暫くすると朱色の袴をした漆黒の髪にて吊り目の女性が現れた。


「これはこれは水の聖女よ……、そなたの連れである志の騎士団の者に訓練を科して欲しいというのじゃな?」

「ええ。……さあ、こちらの桜の武士団長に自己紹介なさい。」


 マキュリーナはケント達に桜の武士団長に自己紹介をするよう促した。


「それがしはケント=ココロザシと申します。志の騎士団長を務めております。」

「私はその副長のアジューリアと申します。」

「我は団員の端くれにて風の部族シュバリア族のムスタンだ……。」

「うむ、わらわは『ヒジリ』じゃ。ぬしらは見るからに筋が良さそうじゃ。さあ、入るが良い。」


 お互い自己紹介を済ませた後、ヒジリは一行をサグラダ城に案内した。

 果たしてヒジリはケント達にどんな訓練を科すのだろうか?

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