主との再会、そして…
大樹の祠の奥でケント達を待っていたのは、ケントとジジョッタにとっての主だった。
「ヨシーナ様!お久しぶりです!」
ケントとジジョッタが主に呼び掛けるも主は戸惑っていた。まるで、『あなた達は誰?』と言わんばかりのようだ。コンラッドが二人を制止した。
「申し訳ありません…。彼女は記憶を失っており、また、言葉も話せないのです…。今はどうか…、『純真姫シーナ』としてお接し頂けないでしょうか。」
コンラッドは主が記憶喪失である事を伝えると同時に、『純真姫シーナ』として接するように伝えた。
「…わかった、何か事情があるんだな…。(『「その時のわたし」として接して下さい。』…、そうか…、そういう事か…。)」
ケントは主の手紙を思い起こして、コンラッドの意向を汲んだ。
「皆、この方が僕らの主なんだ。今は『純真姫シーナ』として接して欲しい。」
ケントは改めて主であるシーナの事を団員に紹介した。
「とっても高貴で美しいわね。まるでカムイのようだわ。」
「我は…、護るべき者を護るのみ…。」
「わ~い!お姫様みたい~!」
「この女の人が…、団長の主ですか…。」
「…ジュンシンキシイナ…?長過ぎて覚えづらい名前だよ…。」
「うわ~!綺麗でうっとりなお姉さんだ~!」
ケントとジジョッタ以外のケントAU団員はシーナと初対面だ。
「皆、今の僕は『ケンウッド』ではなく、『ケント』と名乗っているんだ。それから、こちらは僕の仲間達だ。」
今度は旧トラスティア兵士達に自分が今名乗っている名前を伝えるついでに、ケントAU団の団員を紹介した。
「わたしはケントAU団副長のアジューリア。ケント団長と主を共に支えましょう。」
「我は風の部族シュバリア族のムスタンだ…。訳あって右腕は義手だが…、護るべき者を護ってみせよう…。」
「わたくしは参謀のジジョッタと申します。ケントAU団と主を支えてみせます。」
「わたしはユリアです。このジジョッタ姉ちゃんを支えながら、お兄ちゃんを探してるところです。」
「僕はフレッシュティーンのソールです。ケントAU団で剣闘士を目指しています。」
「僕は…、ロベルトです…。失敗しないように…、気を付けます…。」
「僕はホタッテルという蛍型カムイなんだ。ロベルト兄ちゃんがマスターなんだ。光の力で皆を支えてあげたいな~。」
団員達はそれぞれ兵士達に挨拶した。
「それから、それがしはコンラッドと申します。それがしもこれからケントAU団の団員として働く所存です。」
コンラッドもケントAU団団員に挨拶をした。
「これで、自己紹介は済んだわね。ケント、団員も結構多く揃ったし、これから『騎士団』を結成してもいい頃合いね。騎士団の名前は何にしたいのかしら?」
エルフェミスはケントAU団の団員の多さから騎士団に格上げする話を持ちかけた。
「僕が団長として束ねる騎士団の名前は…、『志の騎士団』です!」
ケントは自分が率いる騎士団の名前を『志の騎士団』とした。
「とっても素敵な名前ね。」
エルフェミスは素敵な団名と褒め称えた。それから間もなくエルフッドがやって来た。
「姉上、大変です!」
「どうしたのエルフッド!」
「TC団が飛行艇で我々の本拠まで来て、ケント達に会わせて欲しいと…。」
「何ですって…!?」
突然TC団が四つ葉の騎士団本拠地にやって来た事にエルフェミスが動揺した。果たしてエルフェミスはどのような決断をするのだろうか?




