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将軍王のココロザシ  作者: TAK
第一部第十一章~主との再会
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父の遺産

エルフェミスの案内で大樹の祠に着いたケントAU団一行。大樹の祠の入口で待っていたのはケントにとって意外な人達だった。


「殿下!…いえ…、ケンウッド様!お久しぶりです!」


かつてのトラスティア王国の兵士達がケントを出迎えた。


「何故だ…、何故お前達がここにいるんだ…?」


ケントは祖国の兵士達が大樹の祠に何故いるのか気になった。何もなければここにいる筈がないと踏んでの事だ。


「陛下、いえ…ロイ様からご子息であるあなたにお仕えするよう命じられました。それと、もう一人の者も一緒です。」


兵士達に促されたコンラッドがケントの元に歩み寄った。


「初めまして、ケンウッド様。それがしは以前、元老院の役人だったコンラッドと申します。あなたのお父上から預かった書簡をお渡し致します。」


コンラッドはロイから預かった書簡をケントに渡した。ケントは書簡に目を通した。父の手紙にはこう書かれていた。


『倅よ、お前がこの手紙を読んでいる頃には祖国はアスティア、いやスパイデルに蹂躙された末にわしはもうこの世の者ではなくなっている事だろう。今の元老院はスパイデルの傀儡だ。彼奴は元老院を利用し、自らが世界の頂に立つ事を目論んでおる。彼奴を王位から引きずり降ろさぬ限りトラスティア、何よりミドルガルドに輝ける未来はない。今、トラスティアに戻ってはならぬ。下手に彼奴と戦えば院敵にされるぞ。まずはアスティア城に向かえ。そこに彼奴に関わる何かがある筈だ。アスティア城に向かう際は遠回りだが、ラピス山脈に沿った「ダイヤモンド街道」を通るといいだろう。それともう一つ、我が国の若き兵士達数名とコンラッドなる若者をお前の配下とするが良い。コンラッドは元老院の役人だったが、今の元老院の方針に疑問を抱いており、政治犯として始末されそうになったところをわしが保護したのだ。彼もお前の力となってくれるだろう。皆でアスティア王女ヨシーナの事を護ってやってくれ。そして、反スパイデル勢力を築くのだ。では、若き英雄共に風の加護があらん事を。ロイ=フォン=トラスティア。』


(父上…。そうか…、スパイデルは…、主の父だけでなく…、僕の父まで亡き者に…。)


ケントは祖国の滅亡、何より父の最期を受け、涙を流した。ケントが手紙を読み終えるとやや大きな風が吹き抜けた。


「皆…、有難う…。最後まで父上の元にいてくれて…。」


ケントは兵士達に労いの言葉を述べた。間もなく、奥でユリア、ソール、ロベルト、ホタッテルへの四つ葉の紋章の授与を済ませたエルフェミスがケントの元にやってきた。


「紋章の授与が終わったわ。皆も奥に入って。」


エルフェミスはケント達に大樹の祠の奥に入るよう促した。いよいよケントは奥に控えている主と再会するのだった。

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