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将軍王のココロザシ  作者: TAK
第一部第十一章~主との再会
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脱獄囚グッダ

偽TC団が支配する畑でケントとグッダが得物を構えながら対峙していた。


「グッダ…、僕らが何故ここに来たかわかるな!?」

「わかんねえな!」

「お前がさっき虐げていた仲間を助けに来たんだよ!」

「ああ、あのロベルトっつうガキか!人の言う事全然聞かねえから調教してやってたんだよ!」

「ロベルトは僕らが保護してるんだ!はぐれてしまったから探してみれば…、お前達がこき使っていたとは…!」

「あんなガキを保護してるだと!?お笑いだぜ!何の役にも立たねえガキをよ!」

「ロベルトは役立たずじゃない!人の役に立とうと一生懸命なんだ!なのに何かと失敗してしまう事を悩んでいるんだよ!」

「知った事かよ!てめえらの世界がどうだろうが、俺達の世界じゃ結果が出せねえ奴に人としての価値はねえんだよ!」

「赦さない…!僕はお前を赦さない…!僕らの仲間を蔑ろにするお前を…!いや、ロベルトだけじゃない…。トリッククローバー団の事もだ!」

「何でトリッククローバー団が出てくんだよ!あぁ!!」

「トリッククローバー団も僕の友だ。お前達はトリッククローバー団を騙って略奪の限りを尽くした!お前達は彼らの何を知っているんだ!?」

「騎士団が手ぇ出せねえ盗賊団だろ!」

「何故手出しが出来ないか…、彼らが義賊だからだ!!」

「義賊だと…!?所詮盗賊じゃねえか!」

「私利私欲で略奪を働くお前達と一緒にするな!!『弱きを助け、心ある者を支え、強きを(いまし)め、心なき者をくじく』!、それが義賊団であるトリッククローバー団だ!!お前達は僕の友であるトリッククローバー団も(おとし)めた!!最早言葉はないな…!グッダ、今こそ覚悟して貰おう!!」

「てめえ…、猪口才(ちょこざい)なァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」


ケントの相変わらず、いや以前に輪をかけて強気な態度に逆上したグッダは斧を構えてケントに突進して来た次の瞬間…、ケントが所持する四つ葉の紋章が黄緑色に光り出した。すると、ケントの周囲の動きが遅くなった。


(何だこれは…?時間の進みが遅くなっているような…。)


ケントはグッダが自分の頭を狙って斧を振り下ろすのを見て、斜め右に踏み込み、グッダの左胸を斬り付けた次の瞬間、周囲の動きが元の早さに戻り、ケントは返り血を浴びた。ケントが反時計回りにグッダの方を振り返ると彼は血を流しながら前のめりの状態で倒れた。


(…やったのか…!?)

「…ふざけんな…、何で…、俺様が…、こんな…、ガキ…に…」


這いつくばったグッダはケントへの敗北を拒みながら事切れた。


(『弱きを助け、心ある者を支え、強きを戒め、心なき者をくじく』か…。流石(さすが)俺のダチだな。『志』のマントを羽織るだけの事はある。)


フレンは二人の死合いの一部始終を見届けて去って行った。彼の手には偽TC団から奪った金品が握られていた。それから間もなく、GRによって偽TC団は摘発され、強制労働を強いられた人々は保護され、構成員全員が拘束され、刑務棟に移送された。しかし、押収する筈の金目の物は本物のTC団によって全て持ち去られていた。



「皆…、僕を助けてくれて有難う…。」


ロベルトはケントAU団の皆に感謝の言葉を述べた。


「ロベルト…、礼ならホタッテルに言いなさい。この可愛いカムイがあなたの危機を知らせてくれたから、わたし達はこうして駆け付ける事が出来たの。」


アジューリアはお礼は自分の危機を知らせてくれたホタッテルにするよう伝えた。


「ホタッテル…、有難う…。」

「うん…、ロベルト兄ちゃんが無事で良かった…。」


ロベルトはホタッテルを両手に抱いてお礼の言葉を述べた。ホタッテルもロベルトの無事を喜んだ。


「あ、そうだロベルト兄ちゃん…。僕、ロベルト兄ちゃんをマスターとしたいんだ。」

「いいのか…。失敗の絶えない僕の事を…。」

「うん。僕はマスターの力になりたいんだ。」

「有難う…、ホタッテル…。」


ホタッテルはロベルトをマスターとしたいと申し出、ロベルトは涙を流して喜んだ。そして、ロベルトの所持した星の紋章が黄色く光った。かくしてロベルトはホタッテルのクライアントとなったのだ。



偽TC団との戦いが一件落着し、GR宿舎で身体を流して宿泊するケントAU団一行だった。先の戦いで人を初めて殺めたケントは何かと落ち着かない様子でエルフッドの元を訪れた。


「どうしたんだ、ケント。何かお悩みかい?」

「エルフッド様…、僕は…。」


果たしてケントはエルフッドにどんな話を持ちかけるのだろうか?

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