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将軍王のココロザシ  作者: TAK
第一部第十章~新たなるAU
139/159

出発

流星騎士団地下基地でヴィーナは書簡を携えてケントAU団の元にやって来た。


「これを四つ葉の騎士団の団長にお渡しなさい。」


ヴィーナは書簡をケントに渡した。


「有難うございます。ヴィーナ様、一年間色々有難うございました。それでは、流星騎士団にもココロザシを。」

「本当に有難うございました。流星騎士団にも水の加護を…。」

「一年間感謝いたす…。そなたらに…、風の加護を…。」

「色々有難うございました。あなた方にも真の業を…。」

「キラキラしたエンブレムを有難う!わたし、大切にします!」

「有難うございました。僕達は出発します。」

「向こうでも…、失敗しないように…、気を付けます…。」


一行はヴィーナ達に別れの挨拶をした。


「こちらこそお世話になったね。あなた達に光の加護を…。」

「あなた達…、これからグルンガルドに行くのよね…。トリッククローバー団のフレンに会ったら伝えて。『キリコーンを取り返してくれて有難う』と…。」


エクレールはキリコーンのELコアを見せ、フレンに有難うと伝えて欲しいと述べた。


「わかりました。」


ケントはUD商会に奪われたキリコーンのELコアが戻って来た事に安堵しながら快諾した。


「では、あなた方に光の加護をですわ…。」


ヴィーナも別れの挨拶をした。ケントAU団は流星騎士団を後にした。



道中の街で、ケントAU団は装備を整える為、皆で武器屋に立ち寄った。武器屋には様々な武器が陳列してあった。


「これらがAUの使う武器なんですね…。」


ソールは陳列してある武器に見とれていた。


「これ…、ゴーレム…?」

「いいえ、甲冑よ。騎士が着る防具なの。物々しいと軍神のような雰囲気がひしひしと伝わってくるわ。」


ロベルトは甲冑の物々しさにゴーレムと間違え、アジューリアが説明した。


「わたし、武器見てると皆何故武器を手にして戦うのか気になってしまうの。」


ユリアは武器を見ると人が何故武器を携えるのか気になった。


「…大切な者を…、護る為だ…。中には…、自分の想いを力で示す為…、戦う者もいる…。」


ユリアの疑問に答えたのはムスタンだった。


「わたし…、悲しいの…。わたしとお兄ちゃんの為に一生懸命働いてたパパが心無い人に金取られた挙句殺されたのが…。武器なんて無ければ皆幸せに暮らしていける筈なのに…。」


ユリアは父が殺された事を引き合いに出して、武器が無ければいいのにとムスタンに話した。


「…いや…、我はそう思わぬ…。武器が無ければ…、狩りが出来ぬ…。ぬしが己の父の生命を奪った武器を憎むのもわかる…。武器が護る為の物か殺める為の物かは…、持ち手の心次第だ…。」


ムスタンはユリアに武器は人の生活に不可欠だと語ると同時に、武器の在り方は持ち手の心次第と語った。


「うん…。」


ユリアはムスタンの主張に納得した。


「マスター、このサンドガルドの風土に合った武器はないでしょうか?」


ケントは武器屋の主人の男性に尋ねた。


「そうだな…。この『鋼の曲刀(スチールシャムシール)』はどうだい?鋼だからやや重いけど、あんたの体格なら造作もなく扱える筈だ。」


マスターはケントに鋼の曲刀を奨めた。ケントは試しに手にしてみた。


「悪くないです。それで、いくらでしょうか?」

「そうだな…、12KGだ。」

「はい、これに致します。」

「毎度あり!」


ケントは鋼の曲刀を12,000ゲルダで購入した。


「マスター、この者が剣闘士を目指しているのですが、お奨めの剣等はありませんか?」


ジジョッタはソールに合った武器が無いかマスターに尋ねた。マスターはソールの身体をじっくり見た。


「う~む…。この坊主に合った武器か…。初めてという感じだな…。悪い、剣闘士目指してるならフィジカル面を伸ばしてからでないと話にならねえ。坊主、まずは身体(きた)えとけ。それからでも遅くはねえ筈だぜ。」


マスターはソールに武器ではなく、身体を鍛える事を奨めた。


「はい。」


ソールもジジョッタも了承した。



武器屋を出て宿屋で一泊した一行はグルンガルドに出発していった。ケントとジジョッタが主と再会する日が迫りつつあった…。

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