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将軍王のココロザシ  作者: TAK
第一部第十章~新たなるAU
135/159

各々の夢・緑の節

グルンガルドの大樹の祠で、インドラが見守る中、記憶喪失のシーナに読み書き計算を教えていたコンラッドだった。


「…うん…、これは…、虹点です。おめでとうございます。」


シーナの物覚えの良さをコンラッドは褒め称えた。シーナも嬉しい感じだった。


「コンラッド…、純真姫にお付き合い下さって有難う。突然で悪いのですが、あなたの夢はどんな夢ですか?」


インドラはコンラッドに感謝すると同時に、彼にどんな夢を持っているか尋ねた。


「それがしの夢は…、貴族と平民が未来永劫(えいごう)手を携え合う世界にする事でしょうか。」


コンラッドは貴族と平民が手を携え合う事と答えた。


「では…、何故その夢を抱くに至ったかお話し頂けませんか?」


インドラはコンラッドの夢を抱く経緯について尋ねた。


「はい…。それがしはミドルガルドのブルー地方のアスティア王国領内の村で生まれました。母はそれがしを産み落として亡くなり、父はそれがしが六歳の時に賊の襲撃で命を落としました。孤児となったそれがしは先王に保護されました。そして、その恩から全ての貴族と平民が手を携え合う世界を目指す為、学問に(いそ)しみ、国費でモルガナに留学し、元老院の役人に取り立てられました。しかし、それがしに良くして下さった先王が崩御し、()()()()()宰相が王に即位してから…。」


コンラッドが語っている最中にシーナに異変が起きた。コンラッドの一部の言葉に反応し、身体を強張らせたのだ。


「シーナ様、大丈夫ですか?」


コンラッドが呼びかけるも、シーナの恐慌はおさまらなかった。インドラがシーナを抱くと彼女の身体から発せられた黄緑色の光のに包まれ、シーナは安らかに眠った。


「ごめんなさい…。彼女は…、記憶を失う前の特定の言葉を聞くと情緒が揺らいでしまうのです…。」

「では…、シーナ様が記憶を失う前の件についてお聞かせ願えませんか?決して他言は致しません。」

「わかりました…。では…」


インドラはシーナが記憶を失う前の事についてコンラッドに話した。



話を戻して、志の学級の学徒達による作文発表でユリアの番が来た。


「はい、有難う。では次、ユリアの発表です。」


ケントの合図でユリアは起立した。


「はい。私の夢は、生き別れたお兄ちゃんにもう一度逢う事です。お兄ちゃんはとても強くて優しい人でした。パパが殺されて間もなく私が病気になった時、お兄ちゃんは私をおんぶしてあちこちの医者を回ってくれました。でも、誰も診てくれなかったから、お兄ちゃんは『金は俺が何とかする』と言って家を出ました。あの日から一度もお兄ちゃんに逢っていません。私は、自分を保護してくれたケント先生達の元でお兄ちゃんを探しています。お兄ちゃんに逢えないままでは死んでも死にきれません。終わります。」


ユリアは自分の夢を生き別れた兄と再会する事と語った。全ての学徒が拍手した。


「ユリア、有難う。では最後に、ソール級長の発表です。」


ケントの合図でユリアは着席し、ソールは起立した。果たして、ソールは何を語るのか…。

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