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将軍王のココロザシ  作者: TAK
第一部第十章~新たなるAU
134/159

各々の夢・赤の節

志の学級ももうすぐ一年を迎え、いよいよ最後の講義が行われた。


「今日は志の学級最後の講義です。最後の講義は、自分達がこの日の為に書いた作文『自分の夢』を皆の前で発表して貰います。それでは、まずはロベルトから。」


ケントは最後の講義の合図をした後、ロベルトに起立を促した。


「僕の夢は、カムイと友達になる事です。」


ロベルトの夢がカムイと友達になる事と聞いてソール級長とユリア以外の学徒達が笑い始めた。


「人と友達になれない奴がカムイと友達になりたいだって!」


学徒達はロベルトを嘲笑(ちょうしょう)した。


「黙れ!お前達がロベルトの失敗を一方的に責めるから彼は人と接する事に不安になっていったんだ!…さあ、続けて。」


ケントはロベルトを嘲笑する学徒達に激昂した後、ロベルトに発表を続けるように促した。


「はい。カムイは、人と違っていくら失敗しても責める事もなく、カムクリのような話し方でも笑う事もなく、どんなに臆病でも(はずかし)める事もない、ただ心ある人の味方だからです。」


ロベルトがカムイの事を語った。


「お前は少なくとも心ある奴じゃないだろ!」

「そうだ!講義が終わったら掃除しないですぐ帰ったり、残れと言われても帰ったり…。」

「挙句草むしりで花までむしってたからな!」


『心ある人』に反応したソールとユリア以外の学徒達がロベルトを侮蔑(ぶべつ)した。


「黙れと言った筈だ!ロベルトは心ある者だ!彼はな、自分が何かと失敗しやすい事に負い目を感じているんだ!彼だって悩んでいるんだよ!心ある者は失敗しない者ではない、人の失敗を赦せる者だ!ソール級長とユリアを見なさい!彼の失敗を責めるどころかフォローしようとしてきたんだよ!」

「じゃあ、何でユリアは園芸当番の草むしりで花までむしり取ったロベルトの顔をはたいたんですか!?」


ケントの主張に、一部の学徒がユリアに関する矛盾を突き付けた。


「ユリアをお前達と一緒にするな!!彼女はな、花にも生命があり、何より失われた生命は戻らない事を伝える為にああしたんだ!他の生命も大切にして欲しい事を伝えたかったんだよ!その後、ロベルトに付きっきりで園芸を教えていたんだ!だが、お前達はどうだ!?彼の失敗を頭から(とが)めた挙句、皆で彼を()け者にしてきた。お前達があんな風にしなかったら彼も人の輪に入っていけたんだよ!」


ケントの反論に学徒達は舌を巻いた。


「…さあ、ロベルト、続けなさい。」


ケントはロベルトに再び発表を続けるよう促した。


「ケント先生からカムイと友達になるにはAUの道を歩むといいと言われました。AUはカムイと接する機会が多く、アジューリア先生曰はく、綺麗なお姉さんの姿もいれば、可愛い動物の姿もいる為何かと癒されるという事です。僕もカムイと出逢えば変われるのかわかりませんが、AUの道を歩みたいです。そして、僕を救ってくれたアジューリア先生や、僕を励ましてくれたケント先生、僕に学問を教えてくれたジジョッタ先生、僕に園芸を教えてくれたユリアちゃんのいるケントAU団の一員となって皆さんに恩返しをしたいと思います。終わりです。」


ロベルトは発表を終えた。ソール級長とユリアの拍手が際立って大きかった。


「ロベルト、発表有難う。それでは次…。」


ケントはロベルトにお礼を述べ、次の学徒に促した。

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