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将軍王のココロザシ  作者: TAK
第一部第九章~志の学級
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不機嫌のドリー

先のOT作戦による同時多発襲撃事件でレスティーン労働者と何より多額の資金を失ったUD商会。会長室でドリーはご機嫌斜めのあまり、机に足を乗せていた。そこに執事衣装のスケロックも居合わせていた。

「あ~、不愉快です不愉快です不愉快です!!レスティーン労働者共はまた雇えば良いのですが、問題なのは金庫破りに遭った事です!!幸い例の兵器を何とか先方に納品出来た事とこの角を手に入れた事が大きいですがね!!」

ドリーは角の形をしたキリコーンのELコアが入った小型トランクを握りしめながら不平不満を声高に述べた。そんな中ノックする音がした。スケロックがドアを開けると伝令が入って来た。

「失礼致します。大変な事になりました。納品に向かったフラットが戻って来ません。先方に連絡しようとするも、本人の居場所が不明の始末で手掛かりは依然不明です。」

伝令はUD商会の兵器商フラットが失踪した事をドリーに伝えた。

「何ですと…!?何がどうなっているのです…!?」

ドリーはフラットの失踪に動揺した。

「フラットは…、かねてよりレスティーン労働者への研修を幾度となく提案しておりました。ことごとく却下された事に不満を抱くあまり先方から引き抜きに…。」

伝令はフラットがレスティーン労働者の研修を提案するも却下されて不満を抱いたところに引き抜きにあったのではないかと述べた。

「つまらぬ報せ等聞きたくありません!!下がりなさい!!」

ドリーは明らかに自分に都合の悪い報せに激昂するあまり伝令に退室を命じた。

「!!…失礼しました…。」

伝令は静かに退室した。

「さて…、兵器の納品は一段落したところで…、この角を兵器開発に役立てるとしましょうか…。」

「…ドリー会長…、先の襲撃で…、開発に必要な資金が…、不足の始末だ…。」

スケロックは兵器開発に必要な資金が足りないとドリーに指摘した。

「!!…確かに資金が無ければ開発も出来ませんね…。さて…、どうしたものでしょうか…?」

「…モーカリズムに…、その角を売却いたそう…。」

「!!…モーカリズムにこれを売りなさいと!?馬鹿も休み休み言いなさい!」

「ならば…、金を借りるのか…?たった一体の兵器開発の為に金を借り…、無限金利でしまいには文無しにされる事になってもか…?」

「!!…くっ…、痛いとこ突きますね…。取引ですか…、体のいい借金って奴ですね…。やはり背に腹は代えられませんか…。」

ドリーは資金確保の為、キリコーンのELコアをモーカリズムに売却する事を決めた。この判断が自分ではなく、()()()の利となる事を彼は未だ知らずにいた。

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