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将軍王のココロザシ  作者: TAK
第一部第九章~志の学級
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ご対面

教育機関モスクールの教員としての訓練に臨むケントとアジューリアはレスティーン部に配属された。二人は教員詰所で挨拶をする事となった。詰所には多くの教員が集まっていた。若手の者から年配の方まで様々な顔ぶれだった。

「これから一年、AU訓練生がレスティーン部教員としてお世話になります。お二方、ご挨拶を。」

理事長のファノはケントとアジューリアが一年間レスティーン部教員で訓練する事を伝えると同時に、二人に挨拶を促した。

「ケントAU団団長のケントと申します。他人に教えるのは初めてなので至らないところがございましたらご指導下さいますようお願い致します。」

「同じく副長のアジューリアと申します。非才ながらもレスティーン達を心ある者達へと導くよう努める所存です。」

挨拶を終えた二人に拍手が送られた。

「それから、ケントAU団からもう一人、ジジョッタという女性の訓練生がこの二人のアシスタントとして配属されます。」

ファノは不在のジジョッタの紹介をした。

「ケント、アジューリア。あなた達には、先日流星騎士団が保護したレスティーン達の学級を担当して貰います。その学級の名前はどうしますか?」

「僕は…、自分のマントの刺繍から『志の学級』と致します。」

「ふふっ…。(あなたらしいわ…。)」

ケントは自分達が担当する学級の名前を『志の学級』とした。アジューリアは微笑んだ。

「素敵な学級になりそうな名前ね。」

ケントのネーミングセンスにファノは素敵と返した。


一方、グルンガルドの四つ葉の騎士団本部の応接室ではエルフェミスとコンラッドが話をしていた。

「コンラッド。あなた、学問はどの位(たしな)んでいるのかしら?」

エルフェミスはコンラッドを一目見て勤勉である事を見抜いた上で、どの程度なのか尋ねた。

「政治学と経済学を重点にモルガナ元老院立のティーンアカデミーで修めて参りました。」

コンラッドは得意げに語った。

「そう…、わたしが聞きたいのはレスティーン等に読み書き計算を教えた事があるかどうかなの。」

「それは…。」

コンラッドはエルフェミスの突然の問いに動揺した。

「動揺しているあたり、教えた事がないのね。学ぶ事と、学んで来た事を教えるのは勝手が違うの。」

エルフェミスは学ぶ事と学んで来た事を教えるのは別と述べた。

「エルフェミス様…、それがしに一体どんな訓練を科すのでしょうか…?」

コンラッドは自分にどんな訓練が科されるか気になった。

「勿論教える事よ。読み書き計算を。」

「レスティーン相手にですか?」

「いいえ。まあ、一緒に来ればわかるわ。」

「はい…。(一体どんな相手なんだろう…?)」


エルフェミスはコンラッドをティータヘイム最深部の大樹の祠に案内した。大樹の祠の中にはインドラの元で七色の輝きを放つ横笛の練習をしているヨシーナがいたが、以前と比べて彼女の表情は目元に隈があり、虚ろな感じだった。

「彼女よ。」

「この方ですか…?」

「ええ、彼女は記憶を失ってるの。わたしは彼女の事を『純真姫(じゅんしんき)シーナ』として接しているわ。」

「記憶を失っていらっしゃるならわかる気が致します…。」

コンラッドは相手が記憶喪失とわかって納得した。

「シーナ、これからあなたに読み書き計算を教える人を紹介するわ。」

エルフェミスがシーナに声をかけると、シーナはエルフェミスの方を黙って向いた。

「コンラッドと申します。宜しくお願い致します。」

シーナは黙ってうなずいた。

「ごめんなさい…、彼女は言葉が話せないの…。だから…、優しく接してあげて。」

「はい。」

エルフェミスはシーナが言葉が話せない為優しく接するようにコンラッドに伝えた。

「何かわからない事があったらわたしの相棒のインドラに聞きなさい。わたしはあなたを連れた兵達の方に行くから。」

エルフェミスは大樹の祠を後にした。そしてコンラッドはシーナに読み書き計算を教える事となった…。


話を戻して、ケントとアジューリアはファノを交えて志の学級の学徒達と対面した。教室の中にはアシスタントのジジョッタと、学徒として席に座っているユリアがいた。志の学級の学徒12人のうち、女性学徒はユリアだけでいわゆる『紅一点』だ。

「あっ、僕達を助けてくれたお姉ちゃんだ~!」

「ほんとだ~!」

UD商会の地下室に囚われていたところをアジューリアに救出された事から彼女を見た学徒達は大喜びだった。

「はい、お静かに。これから一年間、あなた達はこの志の学級でこの二人とアシスタントの元で色んな事を教えて貰います。さあお三方、ご挨拶を。」

ファノは騒いでいる子供達に静かにするよう伝えた。

「僕はケント、ケントAU団団長で只今訓練中の身です。」

「わたしは副長のアジューリア、またお世話になるわね。ふふっ…。」

「わたくしはジジョッタと申します。二人のアシスタントをやらせて頂きます。」

ケント達は学徒達に挨拶をした。果たしてケント達は教員の仕事をこなせるのか?

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