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将軍王のココロザシ  作者: TAK
第一部第八章~オペレーショントリニティ
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アフターオペレーショントリニティ

流星騎士団本部の会議室では先日のOTの報告が行われた。

「…まずはエクレールから先日のOTでの成果について報告なさい。」

ヴィーナはエクレールにOTの成果について報告するよう促した。

「はい。私達はUD商会格納庫に潜入し…、大型兵器を破壊する指令を受けました…。相棒のキリコーンの雷で破壊しようとしたところを何者かに止められた挙句キリコーンをUD商会に奪われてしまいました…。気付いたら本部の医務室のベッドという始末で…。そこでキリコーンの事を聞いて私は…」

エクレールは失敗した挙句相棒を奪われた事に負い目を感じ、涙を浮かべた。

「エクレール、話は後で聞きますわ。さあ、次はステラの番ですわ。」

ヴィーナはエクレールに話は後で聞くからと伝えて彼女の話を切り上げ、今度はステラに振った。

「はっ!私達はUD商会に潜入する際、警備が厳重だった為、何としても敵の注意をそらす必要ありと思った矢先に地下道を発見しました。そこからUD商会の地下室に侵入すると、多くのレスティーンが囚われていました。貧しさのあまり働かざるをえない者、貧しきが故に親から金と引き換えに手放された者等様々な事情を抱えていました。私達は彼らを保護した後、エクレール達に合流し、速やかに撤収してOTに関わった者全員無事帰還に至った次第です。私からは以上です。」

ステラはエクレールと打って変わってスラスラと報告した。

「お聞きしましたか?UD商会は『死の商人』だけならいざ知らず、恵まれないレスティーン達を奴隷として扱っていたという事です。親が農家として作物を栽培するも、心無い商人から不当に安い額で買い叩かれる為、レスティーンの子も働かざるをえない状況に追い込まれる…。もう一つは、貧しさのあまりレスティーンの子を売ってしまう…、いわゆる人身売買…。いずれも捨て置けない事態ですわ…。まずはレスティーン労働の根絶を図るのが一番ですわね…。先日保護したレスティーン達ですが、すぐ親元に帰すとまた労働せざるをえない…の悪循環になりますわ…。そこで…、レスティーン達はそのままこちらで保護した上で教育が必要ですわね…。あと、農家との取引についてわたくし達流星騎士団が商人達を必ず監視し、時には直接取引を行っていけば、レスティーン達が教育を受けられ、労働に従事する事態が減ってくる筈ですわ。そこで、先日保護したレスティーン達の教育と農家との取引並びに交易の二つを彼らに任せたいですわね…。」

ヴィーナはサンドガルドでのレスティーン労働並びに人身売買や、不当取引等を挙げ、その解決法について述べた。

「団長、彼らとは一体何者なのでしょうか?」

「それは…」


AU会館の伝言板にケントとアジューリアが向かうとそこにはこう書かれていた。

『ケントAU団へ、依頼の窓口にお越しください。』

「先日の件かな…。」

「ええ。」

二人は依頼の窓口に向かった。


依頼の窓口ではヴァルキリーが応対していた。

「ケントAU団ですね。先日の緊急依頼『要人救出』の報酬として、10KGの手取り8KGとなります。お受け取り下さい。」

「有難うございます。」

ケントは8,000ゲルダを受け取った。

「アジューリア…、今日は依頼どうする…。」

「今日は休みましょう。でも…、トレーニングルームで例の訓練に専念するわよ!」

「うん、そうだね。やはりAUは身体も大切だもんね。」

二人はトレーニングルームに向かった。


一方、アスティア城内の倉庫では、巨大な何かの運び入れが行われていた。

「我がUD商会の製造した大型兵器『スパイダータンク』です。お納め下さい。」

UD商会の兵器商は戦女帝に大型兵器の輸送が終わった事を伝えた。

「わかった…。(哀れだな…、このアスティア城が今は彼奴の居城ではないとも知らずに…。まあいい…、彼奴の手に渡っても私の計画に支障が出るからな…。)」

戦女帝は表向きには了解するも相手がこのアスティア城をアスティア王スパイデルの居城と思い込んでいる様を哀れに感じた。

「有難うございました。」

兵器商がアスティア城を去ろうとした際…

「待たれよ!これだけの大型兵器を扱うにはその兵器を製造した組織の者が必要だ!ここに残って頂きたい!」

戦女帝は兵器商を呼び止め、このアスティア城に残って欲しいと伝えた。

「要するに、この兵器の扱い方の講習が必要という事ですね。では…、講習を受ける方は…?」

「そうだな…。私の配下を連れて来よう。兵よ、私が戻って来るまでこの商人を監視しておけ!」

「全てはマスターの為に!」

戦女帝は配下を連れて来る間、兵に兵器商を監視するするよう命じ、倉庫を後にした。


話を戻して、ケントとアジューリアが例の訓練を終え、伝言板に向かうとこう書かれていた。

『ケントAU団へ、一睡したら荷支度をして流星騎士団本部までお越しあそばせ。星光の令嬢』

「この書き方からして…。」

「ヴィーナ様ね…。」

「という事は僕らはまたエムブレムを授かるのかな…。」

「そういう流れね…。」

自分達の思惑とは裏腹に、これからまた一年サンドガルドで訓練を受ける事になる事を二人はまだ知らずにいた。

本編に登場する主要キャラの一人『戦の申し子ベム』と『戦女帝』の師弟の絆を描いた短編外伝『ラピスラズリの夏の夜』もご愛顧頂けたら嬉しい限りです。

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