野心の真相
アスティア城の一室で戦女帝とベムは対面に座った。
「戦の申し子よ、すまぬな…。この程度の沙汰にしか留められなくて…。」
戦女帝はベムに自分の至らなさを詫びた。
「いや、俺は感謝してんだ。BBB団にいた頃は俺を庇ってくれる奴など誰一人いなかったからな。BBB団に比べればアスティア…、いやあんたの元が一番だと俺は思うな。地獄のような訓練だったが、最高の景色を初めて感じた時、心から感謝する事を覚えた気がするよ。」
「…私がお前を庇ったのは自分の為だ…。お前が彼奴に粛清されたら私の計画に支障が出るからな。」
「あんたの計画とは一体…?」
ベムは戦女帝の計画について気になった。
「それは話せぬな…。ただ…、ラピス山脈での言葉を借りれば、彼奴の業を増幅させるという事位だ…。」
「ところでだが…、奴は何でトラスティア王を生け捕りにしようと…?」
ベムはスパイデルが何故トラスティア王ロイを生け捕りにしようとしたのか気になった。
「トラスティア王ロイはアスティア王妃と関わりを持った重要人物だ。彼奴がロイ王を生け捕りにするのは失踪した王妃の居場所を聞き出す為だった。だが、ロイ王が自害した事によって彼奴は自力で王妃を探すしか出来なくなった。」
戦女帝はスパイデルがロイ王を生け捕りにしようとする理由がアスティア王妃と関わりがある為と述べた。
「奴は何でアスティア王妃を血眼になって探してんだ?ただ王妃だからじゃないのは俺でもわかるが…。」
今度はスパイデルが何故アスティア王妃の捜索に固執するのか尋ねた。旧トラスティアの地で自分がトラスティア王を生け捕りにし損ねて著しく感情的になった位だ。ただならぬ理由があると踏んでの事だ。
「アスティア王妃は『将軍王』の異名を持つアスティア先王の娘だ。彼奴は『将軍王』の箔を目当てに彼女と結婚し、『将軍王の娘婿』を自称して自らが世界の頂に立つべく他国を手当たり次第侵略したのだ。『将軍王』の娘である王妃が自分の元にいないと『将軍王の娘婿』の異名が偽りになりかねないからな。」
「あのアスティア王妃の事だけど…、何故失踪したんだ?」
ベムはアスティア王妃の事も気になった。
「私にもわからぬな…。ただ…、彼奴が王になってからふさぎ込んでいた事は聞いたが…、何者かが手引きしたのだろう。それが何者かは私も聞きたいくらいだがな…。」
「という事は良好な関係じゃないって事だろ。何故なんだ?」
「順を追って話そう。アスティア家臣だった頃の彼奴の話によれば、主だった先王は『将軍王』という名声に満ち溢れた異名を持っていながら世界の頂に立とうとしなかった。彼奴は何度も主に自分の異名を活かすべく世界の頂に立つよう働きかけるも『我がココロザシにそぐわぬ』の一点張りで聞き入れて貰えずじまいだった。そして、先王の娘がフレッシュオーバーを迎えた日に…、彼奴は事を起こしたのだ…。」
「何をしでかしたんだ?」
「先王の娘を人質に取って、同じ事を要求したのだ。だが、先王は『将軍王の異名を汚す訳にはいかぬ』と自ら命を絶って彼奴の要求を拒んだ。そして彼奴は先王の娘と結婚した。しかし、王妃にとって彼奴は父の仇だ…。彼女が失踪するのも必然だと思うがな…。」
「…奴の事良くわかったよ…。マスター…、話してくれてありがとよ…。」
「礼には及ばぬ。ただ…、この話については他言無用だ。良いな。」
「ああ…、わかってるさ。あんたの計画がどんな計画かわからないけど、支障が出たら俺も困るし…。」
二人の会話中に何者かが扉をノックした。戦女帝は扉に向けて赤い目を一瞬強く光らせた。
「では、そろそろ失礼致そう。戦の申し子よ、決して腐るなよ。」
「ああ…。(マスター…、あんたはいつ奴に見切りを付ける…。その時には俺も…。今は雌伏の時だ…。お手並み拝見と行こうか…。)」
戦女帝はベムにスパイデルの不当な仕打ちに対して自暴自棄にならないよう釘をさして部屋を後にし、扉をノックした兵と共に去って行った。ベムは戦女帝がいつスパイデルに見切りを付けるのか気になった。
話を戻して、流星騎士団本部の会議室では団長のヴィーナが団員達を召集して会議が行われた。果たして、どんな会議が行われるのか?
エルトリア様原作『リトルパラディン ~田舎娘だけど、聖剣に選ばれたので巨大ロボットに乗って騎士団長をやります!~』(略『リトパラ』)にて、サカキショーゴ様企画【シャルマエシリーズをエルトリア嬢に贈っちまおう企画!!】に便乗し、
自作ファンタジー群像劇シリーズ『レインボーボンズ』(略『RB』)とコラボした『シャルマエ in アクアポリス最深部~水の聖女大仰天!』を投稿しました。
RB主要キャラ『水の聖女マキュリーナ』は突然現れた『リトパラ』の主要キャラ交えて戦った相手は…、を描いた短編小説です。
ご愛顧頂けたら嬉しい限りです。




