フェイズ4
UD商会格納庫でアジューリア達と合流したケントだった。
「ステラ様、アジューリア、向こうのスケロックはかなりの強敵です。」
ケントはステラとアジューリアにスケロックの事を伝えた。
「うん、わかった。これよりフェイズ4に移るよ!」
(フェイズ4と言えば確か撤収だな…。)
ステラはフェイズ4に移るとケントに伝え、スケロックの方に『スパークル弾』を投擲すると、無数の小さな閃光が辺り一面を覆った。スケロックの注意をそらしたステラはエクレールをお姫様抱っこして格納庫を離れた、ケントとアジューリアも彼女に続いた。アジューリアは去り際に格納庫のシャッターを閉めた。
(…奴ら…、俺に敵わぬと踏んで…、味な真似をするな…。)
スケロックは侵入者共の鮮やかともとれる撤収ぶりを敵ながら称えた。
「スケロック様、大丈夫ですか?」
UD商会の警備兵がスケロックを気遣った。
「ああ…、俺は大丈夫だ…。それより…、今回の同時多発襲撃による被害内容をまとめておけ…。但し…、地下室の看守共は『侵入者に殺害された』と書いておけ…。良いな…。」
スケロックは今回の同時多発襲撃の被害についてまとめるよう命じた。
「はっ。」
スパークル弾…流星騎士団のELアイテムで、緊急用投擲弾。無数の小さな閃光を広範囲にまき散らして相手の注意をそらしながら撤退する際に使用される。ダメージを与える効果は微弱にて皆無と言っていい程。
一方、菫の騎士団本部の応接室では、業を全うして釈放されたクロードと菫の騎士団団長サキュバーナが対面していた。
「クロード、今日からあなたも自由の身よ。既にAUとして必要な手続きも済ませているわ。」
「ああ…、自分の事を見つめ直す絶好の機会だったな…。」
クロードは模範囚だった事から先程デュラより授かった月の紋章が取り付けられた自分の愛槍『V-850』を見て語った。
「これからあなたはどうするの?」
サキュバーナはクロードに今後の身の振りようついて尋ねた。
「俺は…、良くも悪くも世話になったケントAU団に入団したいんだが…。今彼らはどうしてるんだ?」
クロードはケントAU団についてサキュバーナに尋ねた。
「悪いけど…、わたしにもわからないわ…。…でも…、これだけはわかる気がするの…。『弱者を護り、心ある者を支える』という志だけは…。」
「そうか…、どこにいようが気持ちは繋がってるという事か…。なら、俺もAUとして訓練を積む事にするよ。」
クロードはケント達同様にAUの道を歩む事を決意した。
「あなたもAUの道を歩むのね。ただ、一つだけ言わせて貰うわ。AUの道は決して平坦じゃない。最悪命を落とす事もある。あなたにその覚悟はあるかしら?」
サキュバーナはクロードにAUの道は常に危険が付きまとう事を伝えると同時にその覚悟はあるか尋ねた。
「ああ、妹の受けた苦しみに比べれば俺の苦しみ等ちっぽけなもんだからな。」
アヤカシに殺された自分の妹の事を引き合いに出してクロードはあると答えた。
「わかったわ。確か…、あなたは妹をアヤカシに殺されたのよね。」
サキュバーナはクロードの覚悟を確かめた。
「ああ、それともう一つ聞きたい事があるんだ。俺は上半身だけでも動いてた白いカムイからこの槍を授かったんだ。あのカムイは一体何者なんだ?」
「ヴァルキリーよ。虹のエレメントを帯びたゴッドガルド製のカムクリ…、そう…、人工カムイ。」
サキュバーナは白いカムイ並びにV-850が虹属性である事からヴァルキリーと答えた。
「そのヴァルキリーはここにいるのか?」
「悪いけど、ここにはいないわ。ちなみに、このケイブガルドのカムクリは『ジェネラロイド』なの。甲冑とケイブガルドのEL技術を組み合わせた人工カムイよ。要するに、デュラのサイズを人と同じにしたような存在ね。」
「じゃあ、ジェネラロイド一体を俺の相棒として手配してくれないか?」
クロードはサキュバーナにジェネラロイドを一体手配して貰えないか交渉した。
「いいわ…。但し、条件があるの…。」
サキュバーナは条件付きで承諾した。
「条件…?」
ジェネラロイド…ケイブガルド製のカムクリで、闇属性。甲冑を素体とし、光に弱い欠点があるが、ゴーレム並の汎用性を誇る。
話を戻して、ケント達は流星騎士団に帰還し、団長のヴィーナにOTの遂行結果について報告した。
「…大型兵器にエクレールの相棒の件…、致し方ありませんわ…。それよりも…、レスティーン労働者を保護したのが大きな収穫でしたわね…。」
「はい…。それから…、TC団の方々は…?」
ケントはヴィーナにTC団の事を尋ねた。
「去りましたわ…。わたくしに『こいつをレプラコーンの泉に沈めてくれ』と金を渡して…。」
ヴィーナはTC団は金を渡して去って行ったと伝えた。
「そうですか…。(TC団…、何かと掴みどころのない存在だな…。首領のフレン…、身のこなし方がベムのような感じだったな…。)」
ケントはフレンにベムの姿を重ねた。
「今日はご苦労様ですわ。AU会館でゆっくりお休みなさいまし。それから、UD商会のレスティーン労働者の保護の件…、緊急依頼として後程依頼の窓口に発行するよう直接お伝え致しますわ。伝言板にも目をお通しあそばせ。」
ヴィーナはケントとアジューリアを労いながらも、緊急依頼の事を伝えた。
「有難うございました。」
二人はAU会館に戻って行った。
自室に戻った二人だったが、ケントはどこか落ち着かない様子だった。
「…アジューリア…、僕は…。」
「ケント、どうしたの?顔色でも悪いの?」
ケントの異変に気付いたアジューリアだった。
エルトリア様原作『リトルパラディン ~田舎娘だけど、聖剣に選ばれたので巨大ロボットに乗って騎士団長をやります!~』(略『リトパラ』)にて、サカキショーゴ様企画【シャルマエシリーズをエルトリア嬢に贈っちまおう企画!!】に便乗し、
自作ファンタジー群像劇シリーズ『レインボーボンズ』(略『RB』)とコラボした『シャルマエ in アクアポリス最深部~水の聖女大仰天!』を投稿しました。
RB主要キャラ『水の聖女マキュリーナ』は突然現れた『リトパラ』の主要キャラに授けたアイテムは…、を描いた短編小説です。
ご愛顧頂けたら嬉しい限りです。




