レスティーン達の危機

UD商会地下室に着いたスケロックはもぬけの殻の牢屋と背中合わせに拘束された看守二人を発見した。スケロックは二人を拘束している拘束具をパンチで破壊した。

「スケロック様、有難うございます！」

看守達は自分達を解放してくれたスケロックに礼を述べた。

「礼には及ばん…。それより…、何だこの体たらくは…？」

スケロックは地下室の現状を看守達に問いただした。

「…いきなり地下室に小娘二人が侵入し…、そのブリジット族のような身体の一人が我々を拘束し…、もう一人が我々に剣を突き付け鍵をよこせと…。」

看守達は戸惑いつつも侵入者と鉢合わせた件をスケロックに話した。スケロックは問答無用で左右の手で看守達の首を掴み高く掲げ、看守達は怪力のスケロックに首を絞められもがき苦しんだ。

「貴様らのような役立たず共は…、そのままくたばるのがUD商会の為だ…。」

二人の看守はそのままスケロックに始末された。

ステラとアジューリアがレスティーン達を連れて地下道から地上に出てUD商会から離れる途中、レスティーン達に様々な異変が生じた。

「暑いよ…。お姉ちゃん…。」

「喉が…、渇いたよ…。」

「水…、飲みたいよ…。」

レスティーン達は燦燦と照らす太陽の熱や喉の渇き等で体調不良を訴え始めた。

「皆…、大丈夫よ。ここを日陰にしてあげるわ。ELアビリティ、『ソイルバリケード』！」

アジューリアはソイルバリケードでレスティーン達に太陽の光が当たらないようにした。

「ステラ様、私はレスティーン達のケアにあたります！あなたはヴィーナ様に救援要請を！」

アジューリアはステラにヴィーナに救援要請するよう頼んだ。

「わかった。…こちらステラ、UD商会地下室に囚われていたレスティーン十数名を保護しました。中には体調不良を訴える者も出ています。日陰の方でアジューリアがケアにあたっているところです。どうか、救援部隊の手配をお願い致します。」

ステラは星の紋章を通じてヴィーナにレスティーン達の安全を確保する為の救援を要請した。

『早速そちらに馬車数台を向かわせますわ。引き続き、その場でレスティーン達の安全を確保なさい。』

「了解。」

ヴィーナは了解したと同時に引き続きレスティーン達の安全を確保するよう伝えた。二人がレスティーン達のケアをしながら救援を待っている途中、上空に飛行艇が現れた。

「おう、嬢ちゃん方！どうしたんだそこの坊主共は？」

飛行艇から現れたのはフレンだった。

「フレン、お願いがあるの！このレスティーン達喉が渇いて死にそうなの！水があるなら分けて欲しいの！」

アジューリアはフレンに水を分けるよう懇願(こんがん)した。

「ああ、坊主共をそのまま死なせたら寝覚めが悪(わり)いからな！待ってろよ、今すぐ持って来てやるからな！」

フレンは飛行艇の中から水の入った樽を持ってきた。

「さあ、受け取りな坊主共…！」

フレンが外に樽を投げ入れようとした瞬間…

「マスター、ここはそれがしが…。」

ムサシがフレンを制止した。

「降ろす準備をする為、暫くお待ちください。」

ムサシはアジューリア達に例の準備の為暫く待つよう伝え、樽の両側をロープで括り付け、樽を吊ってゆっくりと降ろした。

「この水は中にデクード炭を必ず入れる水売衆から取り寄せた安全な水です。それから、樽の中にはデクード製のコップもあります。これでレスティーン達も大丈夫でしょう。」

「有難う、助かったわ。」

「恩に着るよ。」

アジューリアとステラはム(・)サ(・)シ(・)だ(・)け(・)にお礼を述べた。

「楽しかったぜ！じゃ、嬢ちゃん方に坊主共にも四つ葉のクローバーをってね！」

「それでは、方々にも風の加護を…。」

「あなた達にも水の加護を！」

「TC団にも光の加護を…。(TC団…、義賊団とはいえ盗賊団だから信用ならないと思ったが…、意外と心ある者達なんだな…。団長が何故彼らを支持するのか…、今わかった気がするよ…。)」

TC団はステラ達に別れを告げ、飛行艇で去って行った。ステラはレスティーン達に水を分けてくれた件からTC団への理解の感情が芽生えつつあった。そして二人は流星騎士団からの救援部隊が来るまでレスティーン達に水を与えて危機を凌(しの)いだ。

ようやくケントとエクレールは格納庫に辿り着いた。そこには八本足の大型兵器があった。

「これが…、例の大型兵器…。」

「蜘蛛(くも)を思わせるような禍々しい感じね…。」

(蜘蛛…、という事はまさか…、引き渡し先がアスティアか…？)

ケントは蜘蛛(スパイダー)からアスティア王スパイデルを連想し、大型兵器がアスティア向けに製造されたのではと考えた。果たして二人は大型兵器をどうするのか？