流星騎士団地下基地
廃棄物運搬の依頼を受けた二人は依頼人に書類を提出し、手袋に鼻と口を覆う布を渡された。アジューリアは長い髪をシニヨン状にまとめて仕事に臨んだ。ケントは勿論アジューリアも既に異臭を克服したと言っていい程きちんと仕事をこなしていった。
流星騎士団の最奥部の地下基地…、ヴィーナとステラとエクレールの前に左胸に星の紋章が施された黄金の巨大な女性型カムイがいた。
「これはマスター、いかなる御用でしょうか?」
「『クレア』、早速で失礼ですが、トリッククローバー団の『ムサシ』にお取り次ぎ下さいまし。」
ヴィーナは相棒である光属性のQG『黄金女王クレア』にTC団のムサシに取り次ぐよう頼んだ。
「ふふっ…、承知しました…。」
クレアは左胸に両手を当てて、右手をヴィーナに差し出すと彼女の右手の上からサムライな出で立ちの緑装束の男性らしきホログラムが現れた。
「それがしはトリッククローバー団のムサシです。いかなるご用件でしょうか?」
ムサシはヴィーナ達に用件を尋ねた。
「実は…、UD商会がミドルガルド向けに巨大兵器を製造し、どこかに引き渡そうとしているのです。また、数年前からミドルガルドで戦争が活発化に伴い、UD商会も兵器等を売り飛ばして莫大な富を得ております。それで、わたくし達流星騎士団はUD商会の増長を何とかする為にも、あなた方TC団の協力が必要です。報酬なら10MGでいかがかでしょうか?マスターにお伝え下さいまし。」
ヴィーナはムサシに例の依頼について報酬を10,000,000ゲルダで彼のマスターに受けて頂けないか交渉した。
「承知しました。マスターにお伝え致します。暫くお待ち下さい。」
ムサシがヴィーナに伝え終わるとホログラムが消えた。
「マスターが首を縦に振って下されば良いのですが…。」
「縦に振って貰えないならそれで楽と思いますよ。」
「財源への攻撃はTC団のお家芸…。協力が得られたなら面白い事になりましょう。」
ヴィーナは断られた場合を考えると不安になる一方、ステラは拒否されたらそれで楽と考え、エクレールは承諾して貰えたら面白いとワクワクした。
「お疲れ様、書類はこちらで提出しておきます。報酬については依頼の方から伝言板で窓口に来るようお知らせが来ると思います。それでは身体流してお休み下さい。」
廃棄物運搬の依頼人はケントとアジューリアに依頼の後の事を伝えた。汚れた状態で書類や金を扱う事を避ける配慮の事だ。
「有難うございました。」
仕事を終えた二人はAU会館の浴室に向かった。
流星騎士団の地下基地で、クレアの左胸の紋章が明滅し、ムサシとマスターらしき男性のホログラムが登場した。マスターらしき男性は黒装束の戦い慣れしている感じだった。
「よう、ヴィーナの嬢ちゃん!久しぶりだな!」
男性はヴィーナに馴れ馴れしく声をかけた。
「貴様!団長を何だと思って…!」
「ステラ!彼はTC団首領の『フレン』です!大目に見ておあげなさい!」
フレンの礼節を弁えない言動にステラは激昂したが、ヴィーナに制止された。
「わかりました…。(団長…、何故こんな礼儀知らずの力を借りるのか…。)」
ステラは不服ながらも引き下がった。
「さあて、嬢ちゃん方…。例の依頼について詳しく聞かせて貰おうか。」
フレンはヴィーナ達に依頼の内容を尋ねた。果たしてヴィーナ達の交渉は成功するのか?




