サンドガルドの料理
サンドガルドのAU会館…、一睡終えたケントとアジューリアは依頼の窓口に向かった。
「失礼致します。施設内で出来る仕事はないでしょうか?」
ケントは窓口のヴァルキリーに尋ねた。
「あなた方の身体に適した仕事がございます。」
「それは一体…?」
ケントは自分達に適した仕事が何か尋ねた。
「物資搬入です。重い物を運ぶ事になりますが、日頃から鍛えていらっしゃるあなた方なら問題なくこなせるでしょう。」
「僕はこの仕事にしたいんだけど、アジューリア、あなたはどう?」
「わたしも賛成よ。重い物を扱うのは訓練も兼ねるし一石二鳥ね。」
「では、二人とも物資搬入で受理致します。」
ヴァルキリーはケントに書類を渡し、二人は物資搬入の仕事を請け負う事となった。
物資搬入の内容は流星騎士団がブラーガルドの水売衆から仕入れた飲用水の入った樽等を施設に搬入する作業だ。飲用水はサンドガルドでの需要が高く、各国境なき騎士団管理下では量り売りで900グランで6ゲルダだが、闇市で高値で売られる事も少なくない。二人は準備運動をし、二人で強力して重い物を次々に運び、造作もなくこなしていった。
「お疲れ様でした。では、受付にご提出下さい。」
依頼人は依頼を完了させた書類をケントに渡した。
「有難うございました。」
二人は依頼の窓口で96ゲルダを受け取った後、どうするか話し合った。
「今日は結構重い物運んだし、訓練はなしでいいかな?」
「ええ。重い物を運んだ後は柔軟運動してマミーカフェで食事しましょう。」
二人は一旦部屋に戻って柔軟運動してからマミーカフェに向かった。
マミーカフェのからくり券売機で二人は24ゲルダ投入して食券を二人分購入し、定食を注文した。暫くして店員が料理を運んで来た。
「本日は泥乳漬けジビエ肉ソテー定食です。ごゆっくりどうぞ。」
二人はまずサラダスープをスプーンですくって飲んでみた。
「結構スパイスが効いてて美味しい。」
「ええ。わたしも辛いの大好きよ。…といっても塩辛いのはちょっとね…。」
二人ともとっても美味しく感じた。次は賽の目状のチーズが載ったフレッシュサラダをフォークで食べてみた。
「やっぱり美味しいね。」
「ええ。」
やっぱり二人とも美味しく感じた。今度はメインディッシュである泥乳漬けジビエ肉ソテーをナイフで切ってフォークで食べてみた。
「軟らかいだけでなく、ハーブとスパイスも効いてて美味しいね。」
「ふふっ…、魚が好きだけど、たまには肉も悪くないわ…。」
二人は結構味わった。最後はサンドガルドの主食である『蒸しスイートスティック』をスプーンですくって食べようとしたが、ケントはサラダスープに落としてしまった。
「あっ…!」
「落としてしまったのね…。」
ケントは手を挙げて店員を呼んだ。
「すみません…、蒸したスイートスティックをサラダスープに落としてしまいましたが…。」
「心配いりませんよ。寧ろ美味しく頂けると思います。蒸したスイートスティックは辛い料理とも相性抜群です。」
店員に心配いらないと返されたケントはとりあえずサラダスープに落とした蒸しスイートスティックを口に運んでみると…
「あれ…?結構美味しい…。アジューリアもつけて食べてみて。」
ケントはアジューリアに促し、彼女もスプーンですくってつけて食べてみた。
「なになに?…!…とっても美味しいわ。」
アジューリアも美味しく味わった。こうして二人は完食し、スタンプカードには2ポイント押印された。
流星騎士団の本部では、諜報に携わった兵士が団長のヴィーナに首尾を伝えた。
「何ですって…!?大型兵器が…!?」
「はい。UD商会は八本足の大型兵器を開発、製造しており、格納庫の近くでテスト運用並びにデータ採取を行っている様を目撃した次第です。」
「はい、ご苦労ですわ。」
「はっ。」
兵士はヴィーナの元を離れた。
(大型兵器が製造された…、となればミドルガルドのさる国に引き渡される前にあの方々との連携が必要かもしれませんわね…。問題はあの方がご承諾下さるかですわ…。)
ヴィーナは戦争に乗じて金儲けに奔るUD商会を何とかする為にさる組織との連携を視野に入れていた。




