表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
通院日記~ただの口内炎だと思ったら結構大変なことになった~  作者: 西野完菜


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/14

012 手術の後は②

 着替えを終えて、やれやれと一休みしていたところに看護師さんが来てくれた。点滴の続きをやるために、新しい点滴の薬を持ってきていた。

 私は、ベッドに横になって右腕を看護師さんに見てもらう。


「ん? ちょっと腫れてないですか? 痛くないです?」

「ん-そこまで気になるほどでは……」


 ベテラン看護師さんは、優しく私の腕を指で押して腫れを確認する。


「やっぱりちょっと腫れていますね。左手に打ち換えましょう」


 私は、まさかわざわざ打ち換えてくれるなんて思ってなかったのでびっくりだった。でも確かに時折、針を刺している部分に痛みが走ることがあったのでありがたい。

 すぐに右手の針は抜いてくれて、左手に刺す準備をしてくれる。テキパキと準備をして、左腕に打ちなおしてくれた。


 打った後に、ちゃんと入ったか色々チェックしていたんだけど駄目だったらしく一度抜く。


「すみません。ちょっと待っててもらっていいですか?」

「はい」


 看護師さんが、足早にどこかに行ってしまう。やっぱり難しいのかなと自分の腕を見る。全く血管が見えない。なんか申し訳ないなと思いつつ待つ。すると、昼間に点滴の針を打ってくれた眼鏡くんが登場。


「すみません。右手腫れちゃったんだって? あれ? 朝日さん、もう着替えも終えてるの? さっき手術終わったばっかりだよね? 凄いねー」


 眼鏡くんに、なんか感動される。でも、確かにさっきまで全身麻酔の影響でぐったりしていたから分からなくもない。眼鏡くんは、私の右腕を見てふんふんと確認している。


「あー、本当だ。ちょっと腫れてるね。綺麗に入っていたんだけどな、残念だねー。ごめんね」

「いえ、私がもしかしたら引っぱっちゃったりしたのかもです」

「そんなそんな。では、左腕でやりましょうね」


 そう言って眼鏡くんは、左腕の方に移動して確認する。


「んー。かなり難しい……。あまりに入らないと、手の甲に刺すんですがそれだと痛いんですよ。だから、頑張って腕に刺しますからね」


 私の腕を、ひねって見たりして血管を探す眼鏡くん。アタリをつけたのか、集中モードに突入する。


「では、刺します」


 刺した後に、きちんと入っているか確認する眼鏡くん。


「OKです。入りましたよー。良かったです」

「ありがとうございます。〇〇さんが、一番注射が上手いんですか?」

「そんなことないですよー照 でも、みんな何か所も失敗してから僕のところに来たりするんですよ。患者さんが怒ってて困りますよねー」


 眼鏡くん、嬉しそうに話してくれる。憎めない。きっと、これからも注射のスペシャリストとして、この病院で重宝されるのだろう。頑張ってね、眼鏡くん。


 そんなこんなで、無事に点滴を打ちなおして貰ったところにベテラン看護師さんが戻って来た。


「無事に入って良かったです。では、今日はもう特に何もないのでゆっくりして下さいね。夜勤の看護師と変わりますので、本日はお疲れ様でした」

「こちらこそ、ありがとうございました」


 看護師さんが去って行った後に、ゆっくりと買っておいたペットボトルの水を飲む。朝から、飲まず食わずだったけれど飲み物だけはやっとOKが出たのだ。

 ほんの少しだけ、水を口に含んでごくんと飲み込む。ゴクンする時に、舌に激痛が走る。飲み込む時にこんなに痛みを覚えるなんて……私の中で衝撃だった。

 こんなんで、ご飯なんて食べられるのだろうか……。その日はもう、夜ごはんは無しなので水分だけなのだが……。明日からの食事に不安を覚えた私なのだった。


 夕飯の時間になると、先生が来てくれて術後の様子と薬についての説明をしていってくれた。何かちょっとびっくりだったんだけど、薬は痛み止めだけだったの。

 塗り薬とかないんだって、そこは自然治癒力なのねって。痛み止めの薬が一日4回。それを飲んでもまだ痛いようなら、もう一種類の痛み止めを飲んでみてと説明をして去って行った。


 手術後、切って縫ってるんだけど痛くて痛くてたまらないってことなかったんだよね。それも、もしかしたら麻酔が抜けきっていなかったからなのかもしれないけど。

 だからか、夜になると痛み止め飲んでも痛くて、看護師さんに確認してもう一種類の方も飲んだ。その後は、何もしない分には痛みはなくて普通に早く就寝したのであった。

 流石に、その日は手術で疲れていたし前の日は眠れなかったしで朝までぐっすりだった。


 そして、ここで余談なんだけど……。退院した後に、すっかり元気になって普通にスーパーで買い物していたの。

 したら、数年前に手術をしたことがあるお友達にばったり会って、実はねーって話をした。そこで、衝撃的な話を聞いてしまったのだ。


 私は、手術が終わった後は特に問題なく自分で手術着からパジャマに着替えたわけなのだけど……。お友達は、手術後動けなかったんだって。で、看護師さんが手術着からパジャマに着替えさせてくれたらしいんだけど……。


 それが、若い男性の看護師さんだったんだって。


 私、びっくりして「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇー」って叫んだよね。


「それは、流石に配慮はないの?!」

「なかったんよ……。私、無の境地だったよね。手術着の下って真っ裸じゃん。全部見られたの……」

「うそーーーーーーーーーー」


 もう、驚愕だった。もし、私も同じようなことになってたらって考えただけで恐ろしい。でもさ、よく考えたら性別が逆の場合でも、男性だって気まずいのは変わらないかって思って……。仕方ないのかーって思ったけど、だけどさーそこはさーって受け入れられない私がいた……。お友達の遠くを見る目が忘れられない。


 そしてこの話を聞いた時に思い出したことがある。最近は、年配の方にVIO箇所の脱毛が人気があるって。介護とかされる立場になった時に、衛生面とか見た目とかを気にしてなんだって。物凄く、分かる気がした……。


 次回、手術後一日目に続く。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ