閑話 自我
ホラーは少し苦手だったのでここで少し閑話
「そういえばさ、ふと思ったんだが・・・・」
ある日、ハクロたちを見てふと思った。
「ハクロ、アルテミス、カトレアって1000年以上は生きているよね」
「そうですけど・・・」
「我は万年じゃな」
「だいたいあっています」
見た目は若いんだけどな。
「そこまで長い間生きているなら何か面白そうな話しとかないのか?」
何んとなく暇だったので聞きたくなった。
「んー、私はゼロ様に出会うまでのことをあまり覚えていないんですよね。なんか意識がはっきりしていない感じでしたし」
「私は・・・森でずっと暮らしていたからないですね。ご主人に会うために森を出るまでには特に何も」
「我はあんまり昔を振り返らんから忘れたのじゃ」
要は全員覚えていないってことか。
「そもそも、昔話を好むのは人間の方じゃな。我らモンスターからしてみれば、いまか未来にしか興味がないしのぅ」
「そういう考え方なのか」
モンスターはモンスターなりの考え方があるのか。
「まあ、はっきりとした自我がない感じでしたからね・・・・。魔物使いと従魔の契約を結んで意識が出るみたいなことがあるって本で読みましたし」
「自然に同化している感じで、そこまで気にはしていなかった・・・」
ふむ、つまりは誰しもがはっきりとした自我を持っているわけではなかったという事か。
「我は自我がはっきりしておる。モンスターによっては最初から自我が芽生える者と、従魔になって自我が芽生える者、もしくは強い衝撃で芽生えるものみたいな感じじゃろうな」
「強い衝撃って?」
「地震、雷、火事、洪水、などの事じゃな。中には人を食べて芽生える者もおるようじゃが・・・」
「なにそれ怖い」
そんなんで自我が芽生えたらすごい嫌だな。俺だったら確実にトラウマになりそう。
「ま、自我がこうしてはっきりするのは従魔共通じゃな」
「そういうもんか」
「そういうもんじゃ」
なんとなく納得したのであった・・・・・。
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(自我以外にも、心も違うのじゃがな)
ゼロに自我について話したその夜、寝る前にふとその話で言い忘れていたことをアルテミスは思い出した。
モンスターの心についてである。
モンスターにも心があるが・・・・その心の在り方も違う。
だが、ハクロやカトレアたちの姿を見ると人に近い心を持っているようにしか思えない。
アルテミスは考える。もしかしたら人に近い姿をしたモンスターほど人に近い心を持つのではと。
アルテミス自身も人化により人の姿となる。自分もその影響で人の心に近いものを持っているのではないかと。
(ま、深く考えない方がいいかのぅ)
考えていると頭が痛くなってきたので、考えるのをやめてアルテミスは眠った。自分がそのようなことをわざわざ知る意味がないだろうと思って。
どうせ、自分がモンスターなことは変わらないのだから・・・・・。
モンスターはモンスター。
人は人。
その事実は変わらないだろうと・・・・・・。




