『ギガントスライムのいるところへの道のり1』
ルート
王都→村→ギガントスライムがいる森ってかんじ。
「それにしても、速いよな・・・・」
「ご主人が乗りますので、日々改良を施しているんですよ」
俺のつぶやきに、座席の向かい側で座っているカトレアがそう答える。
現在、ギガントスライムとやらがいるところまでカトレアが作った馬車で移動している最中であった。
「改良により、高速移動時にかかる肉体的負担を減らすことに成功いたしましたので以前よりもさらに高速になりました」
いったい何をどうやったのかはわからないが、とにかくかなりの速度を出せているのはわかる。
馬車型ゴーレムなのだが、馬の形をしたゴーレムが明らかにものすごい足の動きをしている。そのうち馬を外してしまう予定らしい。・・・馬車と言えなくなるよな。
なお、目的地到着までの予測は45分ほどになっているそうな。前のやつは1時間ほどだったからかなりパワーアップしているようである。地球と違って速度制限がないからさらにスピードを出せるが、安全運転で頼む。このスピードで事故を起こしたらシャレにならん。
念のため、前に障害物があったときには急に止まれるようになっているらしいが・・・どういう仕掛けなのやら。
カトレアが進化してドリームドリアードとなっている自身の特性を生かして、休憩時などにこの馬車に近づく不審者には眠らせる煙を噴射できるようにもなっているという。悪夢付きで。
あ、ハクロたちは現在従魔用空間に入ってもらっています。カトレアはこの馬車の操縦のために出ているんだよね。全自動にしたいが、まだ完全ではないという意見からである。
ハクロたちを従魔用空間に入れたのは、何やら従魔同士の特訓だそうだ。なんでもこうして手合わせして互いに強くなろうとしているのだとか。モンスターの本能らしい。そのあたりはわからないところが多いんだよな・・・。
というわけで、現在馬車にはカトレアと二人きりという状況である。従魔用空間でハクロたちが暴れているようだが、その音は聞こえないようにすると何やらそっちで工夫されたらしく、一切の音が聞こえていない。
しかし、馬車の揺れが結構抑えられているけどこのわずかな揺れがまた心地よいな・・・・。
「ご主人、眠いのならそちらの青いボタンをどうぞ」
「ん?」
カトレアが指さした先には、赤、青、黄の3つのボタンがあった。
「これは?」
「この馬車の快適化のために新たに作った仕掛けです」
とりあえず、言われた青いボタンをぽちっとな。
ぷしゅーーっつ!
なにやら空気が抜けた風船のような音がしたかと思うと、軽めの毛布が出された。
「仮眠用の布団です」
「・・・以外に便利だな」
ほかのボタンが気になるが、まあ、とりあえず座席に横になって昼寝するか・・・・。
このとき、カトレアの瞳がわずかに悪戯心でもあるかのように光ったことに俺は気が付かなかったのであった・・・。
ゼロの従魔は全員ゼロのことが好きですので・・・・・。




