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『語る氷龍帝』

会談と違うかな・・・・

 凍り付いてきた海の上に、氷で椅子を作り、ドラゴンの姿のまま氷龍帝は腰かけた。俺はカトレアに椅子を出してもらって対面した。



「なぜ、今回お主との会談を望んだかは3つ理由がある」

「その理由とは?」

「そうだな・・・まず一つは単にお主がどのような者か見たかった。ここまで噂が来ることはあったが、実際にこうして見て見ると、本当に不思議だ・・・・。ただの人間のはずなのに、桁違いの魔力を持ち、その従魔たちも強い。しかも、エンシェントドラゴン殿も従魔にしているのか・・・」

「今の我の名はアルテミスじゃがな」


 アルテミスがしっかりと言う。人化してものすごい厚着をしていてもこもこになっている。


「まあそれはいいとして、二つ目はな。黒魔石についての話だ」

「黒魔石の?」


 まあ、黒魔石についてはほかの国でもいくつか騒動を引き起こしているし、氷龍帝が知っていてもおかしくないか。


「黒魔石についてなんだが・・・その黒魔石の現物を持っていたら見せてくれぬか?ちょっと憶測なんだが・・・確信を持ちたいのでな」


 相手が氷龍帝だから変なことにはならんだろと思い、アルテミスに出してもらった。


「これじゃ」

「ん?なんか前よりも・・・?」


 だしてもらった黒魔石は、なんか前よりも黒くなっている感じだった。元から黒いのだが、より黒くなっているというか・・・。


「ふむ・・・やはりな。吾輩の考えは間違っておらんかったか」


 なにやら自己解決したようである。


「この黒魔石、おそらくとは思っていたが、見て確信した。ある龍帝も関わっておる」

「ある龍帝が黒魔石にかかわっている?」

「ああ、その黒魔石から『邪龍帝』の力が微弱だが感じ取れた」


 龍帝は属性を示すようにいくつかの名前分けされている。邪龍帝は闇属性に関しての龍帝だが、なぜ、闇龍帝という名前ではないのか?


 それは、心の中の闇も含まれているという理由からである。心の闇・・・邪念ともいえるものがあり、それからとったという。



「邪龍帝自身はこんな人に迷惑をかけるようなことをせず、名前に邪がついてはいるが心優しくて、町の清掃をしたり、人助けをしたりなどをしておった」


 名前に邪が付くのにいい人そうじゃん。


「だが、龍帝が集まるときにも必ず欠席せずに毎回出ていたが、8万年ほど前から姿を見せなくなってな、現在のところ行方不明なのだ」


8万年って・・・長いな。いや、ドラゴンの感覚ではどうなのかは知らないけど。


「それで最近起きた黒魔石による事件・・・それに怪物を創り出せるのは邪龍帝ぐらいしか思えなくてな。それでその怪物の現場にいたお主なら邪龍帝の姿を見ていないかと思ったのだが・・・」


 なるほど。それで怪物をよく倒している俺に聞きたくてこんな依頼を出していたのか。


「だけどな・・・いたかな?」

「少なくともそんなの見ませんでしたよね」

「気配すら感じなかったのぉ」

「ミテナイヨ」

「見たことありませんね」


 全員一致で見ていないよな。


「そもそも邪龍帝ってどんな見た目?」

「吾輩を真っ黒に染めた感じだ。龍帝は色とわずかな違い以外はほとんど見た目が同じだからな。人化時は・・・どこにでもいそうで特に特徴もない印象の薄い男のような姿をしておる」


 ひでぇ言い方。しかもそういう感じだとわかりにくそう。気が付かずに近くにいそうだな。


「我らが人化するときはその精神年齢と気持ち、性別、どんな姿と思い浮かべて人化しているのじゃが・・・」

「邪龍帝は人と交わりたかったからあまり目立たぬ印象薄い感じにしたと言っておったな」


 ドラゴンの人化時の姿ってそうやって決まるのか・・・・。


「そんな特徴だと余計分からないな。こうはっきりとした特徴があればよかったんだけどな」


 印象薄い人って・・・・覚えていないよな。例えるなら街中ですれ違った人をすべて覚えることができるのかってぐらい不可能だ。


「そうか・・・だが、その黒魔石からあの邪龍帝の痕跡を読み取れたことは良かった。感謝する」


 深々と頭を下げ、礼を述べる氷龍帝。その姿から邪龍帝のことを心配しているように思えた。


「それで、最後の3つ目なのだが・・・・ゼロ殿、ちょっと二人っきりで話せないだろうか?」

「ん?アルテミスたち抜きでか?」

「ああ、他の者に聞かれたくはないし・・・この氷の部屋の中で話せないか?」


 そういって氷龍帝が手をかざすと、小さなかまくらのようなものがその場にできた。ドア付きで。


「サイズ小さくないか?」

「吾輩が人化して入るからこのサイズでいい」

「今でも体から冷気が出ているのに、人化しても冷気があふれそうなんだが」

「気合で止める」


 うーん、何するつもりなんだろう?


「従魔用空間に全員入れて」

「ダメだ。従魔用空間内でも魔物使いの見聞きすることが分かるようだからな。ちゃんと全員外に出した状態でだ」


 そこまでするとは・・・・よっぽど聞かれたくない話なのか?



「・・・しようがないか。出てこい!リーゼ!」


 まだ従魔用空間にいたリーゼを出した。


「全員ここに残って、俺があの氷の部屋から出てくるまで待機してくれ」

「大丈夫ですかね・・・・?」

「まあ、主殿を殺そうとする気はないのは確実じゃ。そういう気があるなら最初から問答無用で戦っておったし、別に大丈夫じゃろう」


 というわけで氷の部屋に入ることに。先に俺が入って、そのあとに人化して入ってくるようだが・・・・。


「中は普通のかまくらのようだが・・」


 何にもない空間だな。


 そう思っていると、ドアが開いて人化した氷龍帝が入ってきた。


「ちょっと待たせたな」

「いや、すぐだったよな」


 人化した氷龍帝は・・・あれ?


「アルテミスを全体的に青白くした感じだな」


 人化した氷龍帝の姿は、アルテミスの姿に似ていたが、来ている着物は白く、髪と目の色は氷のように冷たい感じの色だった。


「では、3つ目の理由にはいろうか」




氷龍帝、「吾輩」とか言っていたから男かと思っていたら女だった。


しかし、密室に男女二人きりか・・・


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