『夏祭り 夜の部1』
こういった平和な話もいいなぁ。日常回ってほのぼのするんよ。
夕暮れ時になり、いったん家に戻った後浴衣に着替えて、全員それぞれ思い思いの方へ行く自由行動をすることにした。
まあ、アルテミスはまっすぐ大食い会場の方へ向かったが・・・・。そういえば、かき氷では腹壊したけど、こういった大食いでは腹壊さないってどうなっているんだ?リーゼは何やら中心地の方でやるコンサートに行くそうな。人気が出てすごいようである。その他の面々はほかのところへ行った。
そして俺は、ローズと待ち合わせしているところへ向かった。王宮の門前・・・ではなく、もはやこの王都の観光名所である「魔桜」の下でである。夜桜がきれいと聞くが、本当にきれいだな。
数分待つと、待ち合わせの時刻よりやや早めにローズが来た。浴衣姿で綺麗であった。
「すいません、旦那様。お待たせしてしまったでしょうか?」
「いや、すぐだったよ」
割とマジですぐだったな。これ時間通り行っていたら逆になったかな?
手をつなぎ、俺たちは王都を回ることにした。今年は規模がでかいので全部回れるか不安であるが。
まず先にワゼのかき氷店である。今どのくらいの人数が並んでいるのか見たいからな。
「結構並んでいるな・・・」
「人気ですよね・・・」
予想以上に多くの人が並んでいた。けっこう味で人気が・・・・いや?
「あれってどう考えてもさ」
「ワゼさん見たさですよね」
ワゼの見た目は耳以外は人間の少女のような見た目。スラ太郎とはまた違った可愛さがある。その耳を一生懸命動かして対応している姿がどうやら人気のようであった。そう裏付けるかのようにかき氷ではなく、ワゼを見ている目が多いのである。
俺とローズはとりあえず見なかったことにした。一応、裏口から入ってかき氷を二つもらっておいた。これぞ所有者権限である。並ぶ必要などはないのだよ。
俺が選んだのはよくあるイチゴ味。ローズが選んだのは「DDD」という変わった果物から作られた青いシロップである。
一口もらったが、これはこれでおいしい。名称と色合いからどこぞの大王を思い出すが。似たような口癖の人ってこの国の国王だよな。
そのまま屋台を見て回り、いろいろ食べ歩きに近い感じになった。射的に似たようなゲームもしたが、魔法とは違って狙いが難しい。
「あ、アルテミスだ」
大食い会場の近くを通ると、アルテミスの姿が見えた。
ものすごい量の食べ物を食べているが・・・、よく見ると他の参加者、いや、参加モンスターたちがいた。今年はモンスター部門で参加していたっけ。大型なモンスターが多い中、アルテミスは今人化していることもあり、その身長は2mほどなのだが、やや小さく見えた。なんかこれはこれで不思議な光景である。
ゴーレム、サイクロプス、トロール、ギガンテス、マッチョベアー・・・・なんかこのうち3体が合体して別のモンスターになりそう。というか、熊型モンスター混じっているな。あのゴーレムはタイタンだし・・・。あれ?進化してない?
まだまだ食べているようで、ローズと苦笑いしながらも俺たちはまだ王都の店を回るのであった。
まだ続く夏祭り。
ここで一句。
「くいいじで ことしこそかつぞ アルテミス 」
・・・なんか書きたくなった。




