『浴衣合わせ』
現実でも暑いですよね。
「できました〜!」
あと2日で夏祭りとなった今日、ハクロの声が彼女の部屋から響き渡った。
やっと新作の浴衣ができたようである。進化したこともあり、糸の質なんかも向上していて、素早く制作できるはずだが、納得いくまで何着も試作品を作っていたようである。
なお、その試作品は高級浴衣として夏祭り中に服屋さんによって販売されるもよう。貴族などをターゲットにしているそうな。
忘れがちだけどアラクネの糸って高級品なんだよな。しかも、進化の影響によりアンデッド系モンスターを浄化させる効果がついてしまっている。聖職者とかも求める一品のようである。
「私、ゼロ様、アルテミス、スラ太郎、カトレア、リーゼ、そしてローズさんの分です」
ハクロがどゃぁ(=゜ω゜)とした顔で見せた浴衣。確実に前よりも品質、見た目などが向上しているのがわかる。
なお、ワゼの分がないのは彼女がメイド服にこだわっているからである。魔道具にもこだわりってあるんだな。
ローズの分は、今年は彼女と見て回るために作ってもらったためである。あとで渡しに行かないとね。
全員で試着してみると完璧だった。
「通気性も向上しているな」
「今年の暑さは結構なものですからね。ある程度繊維に隙間を作りました」
リーゼが試着したら、水槽の中でも濡れたように見えない感じだった。撥水性を高めたもよう。
軽く動き回ってみるが問題なし。軽くて動きやすくなっていた。
「一応、後は微調整をするだけです」
徹底的にハクロはこだわって浴衣を微調整したのであった。
後でリーゼに渡しに行ったらすごい喜んでくれたよ。国王が儂には?といった目線を送ってきたけどあんたも着るつもりかよ。一応、試作品だった浴衣を売る店を紹介しておいた。
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「ふむ、やはり魔道具か」
屋台を設置して、準備をし始めているワゼとその他カトレア製作ゴーレムを見ている人影があった。
ワゼは魔道具にあたるが、見た目が耳以外は少女そのものなのであまり魔道具には見えない。耳はなんかのおしゃれと思っている人がいるぐらいだ。
だが、ワゼを見ていたその男性は魔道具だと見抜いた。
「完全に意思を持っているわけではなさそうだが、それでも自立思考しているか・・・。うちの腐れ野郎どもが見たら何がなんでも手に入れたくなる一品だろうな。まさかこんな魔道具を所持している人物がいるとは驚いた」
思わずつぶやき、彼は見ていたことがばれないようにその場から去ったのであった・・・。
さて、誰でしたかねぇ・・・
夏祭りまであと2日




