『こういったものがあったんだ・・・』
何かしらのハプニングとか起こしたいな。
祭りまであと三日。ワゼはすでにカキ氷用のシロップの生産をほとんど終えたようである。新鮮さかつ安全品質維持のために新たに家の地下に設立された巨大冷凍室に保管するようだが・・・、そろそろ計画的に地下の見直しをした方がいいのでは?ほっといたら迷宮になっていそうで怖い。
祭りの店はワゼ自身が経営するもので、俺たちは最低限の協力だけでいいらしい。俺の役目はせいぜい魔力の供給ぐらいだな。魔力切れを懸念して、念のためカトレアがワゼの構造をもとに開発した魔力タンクとやらも設置しておくという。今のところ大型だが、小型化を目指すという事。ワゼ自身が内蔵しているのはカトレアでも無理だったらしい。オーバーテクノロジーってやつか?ダンジョン産魔道具侮りがたし。というか、万が一ワゼが壊れたときはどうしよう・・・。魔道具だから修理ってできるのか?
なお、アルテミスはこれから断食に入るそうな。大食い大会のためによくやるな・・・。ハクロは皆のサイズを素早く測定して浴衣を制作している。リーゼのは水中用防水浴衣にするらしい。
「で、なんで俺がここに呼ばれたんですかね」
今、俺は「祭り委員会」のテントに呼ばれていた。ここは祭りの3日前に設立されるもので、夏祭りの安全を保証するために設立されるものである。ただ、ここの委員会に俺は登録していないはずなんだが。ここに登録しているのはギルド職員と、ギルドマスターぐらいなんだが。
「国王様命令ですよ。『ゼロ殿もこれに参加してくれぞい』という伝言です」
あの国王か。
「俺は特にやることがないはずだが・・・」
「いや、必要になってくるのだ」
「あ、メタドンさん」
メタドンさんいましたねそういや。なんかすっごい目が血走っているんだが。
「今回のギルドの出店でここの委員会登録していた職員の人数の大半がこれに参加できなくてな、警備不足になるのだ」
「なるほど、それで警備にあてるために俺を呼んだのか・・・・って、職員をこっちに限界まで回せばいいのでは?」
「そうはいかん!!ギルド職員はうちのギルドの店に全力を出してもらい、あのいけ好かないそろばん野郎の店よりも良くしなければいかないのだ!!」
「メタドンさん・・・めっちゃ私情を入れてますよね」
「俺たちは今回の祭りだと全員別行動なんですが・・・・」
祭りの時はほとんどの魔物使いが従魔たちを好きにさせている。そのため、祭りの間中ずっと一緒なわけではない。
「いや、ただ単にこの『安全警備タスキ』をつけてほしい」
「それだけ?」
「ああ、お前のことはほかの国々のやつでも知っているからそれをつけているだけで祭りの間に問題を起こそうとするやつが一気に減るだろうからな」
デザインが、普通の黄色のタスキにでかでかと「安全警備員」と書かれているんだよな。
「・・・それなら別にいいですよ。というか、それだったらこれを手紙につけて説明を入れてくれれば呼ぶ必要はなかったのでは?」
「あ」
このおっさん、完全にそこまで頭が回らなくなっているな・・・。
どうもモウカリさんの店とは負けたくないようである。そういや、犬猿の仲だよなこの二人。何とか関係を修復させるいい考えがないだろうか?
『無理ですね。こればかりは時間をかけるしかありませんよ』
超ひっさびさの世界の声の指摘である。久しぶりに聴いたと思ったら結構厳しいことを言うなおい。なお、ギルドでなんの店をやるかは当日までの秘密だそうな。
ギルド職員大半か・・・・なんかの劇とかするのか?夏祭りにそれはどうなんだろうか・・・・。
あ、そういえばすでに実はモウカリさんたちも国内にいるんだよね。宗教国からかかる時間を考慮して、あらかじめ準備していたそうである。他国の人たちは移動時間も考えて出店するから大変だな。普段からカトレアの馬車型ゴーレムや、アルテミスに乗って移動したりするからそのあたりの感覚がマヒしてきたのかな・・・?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ええか?今回の祭りでは絶対にあのハゲくそ親父にうちらのギルドの店で勝利するんや!!圧倒的格差を見せつけてやるでぇ!!」
モウカリさんの気合入れる姿が王都にて見られたようである。
今回の祭り、言うならば各ギルドのメンツにもかかっているといっても過言ではなかった。
今年、王都が暑い理由はもしかしたらその気合が原因かもしれない・・・。
移動時間考慮してきている人たちがすごい。一応、馬車とかは発達してきているので性能が上がってきてはいるがな。
祭りまで、あと3日。




