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『ギルドで暴かれる意外な過去』

閑話みたいな感じかな?

「よっしお前ら気合入れていくぞぉぉぉぉ!!」


 王都のギルドマスター、メタドンは今猛烈に燃えていた。目に炎の影が浮かび上がって見えるぐらいの気迫である。


「なあ、ギルドで店をやるのはいいんだがいったい何をギルドマスターはするつもりなんだ?」

「各国のいろいろなところにあるギルドが店を出すこと自体が珍しいからな・・・わからん」


 祭りの間ギルドは休みだが、ギルド全体で店をやるということになり、職員たちはギルドマスターの職権乱用によって強制参加させられた。


 なお、王都以外のギルドも一緒に様々な店を出すのは初めてなのだが、原因は先日の国王の思い付きであった。


『そういえば、最近儂の娘の婚約者殿が各国に回っているようじゃから、この際その国々からも出店を希望してみるかぞい』


 つまり、根本的な原因はゼロなのだが、本人の知るところではなかった。


 ゼロがこれまで訪れたギルドからだけではなく、その国の重要人物まで参加するというある意味世界的に新しいことであった。


 まあ、ゼロが行ったことがない国からも出店を希望する国があった。一応その国々は敷地面積の関係で抽選で参加を決められたが。明らかにそれらの国々の目的はゼロに関係するようなことだろうと思われるが。


「どうせ、宗教国のギルドも参加を希望したからだろ。あそこのギルドマスターと、うちのは犬猿の仲だからなぁ・・・」

「だよな」


 メタドンさんとモウカリさんの仲が悪いのはギルド職員の知っていることでもある。


「そういや、そもそもこの二人って実は幼馴染だったのよ」

「え!!」

「本当ですか!?」


 ギルド受付嬢のエルフ、アールミさんはそのことを知っていた。エルフは基本長寿であり、しかも彼女自身も昔からメタドンさんのことを知っていた。


「ホントは仲良しのコンビ冒険者で、よく『鉄壁のメタドンと火力のモウカリの黄金コンビ』と言われていたのよ」

「そんな時代があったんですね・・・」

「すごい意外だな」

「でもね、ある時二人は解散して、その時から仲が悪くなったのよ」


 何やら複雑そうな顔を浮かべるアールミさん。


「解散の理由は何ですか?」

「それがね、ものすごくくだらないことで一人の女性を奪い合ったの」

「「はぁっ!?」」


 今のメタドンさんお姿を見ていると全くそのことを考えられなかった。一応メタドンのほうは結婚(今は別居中)しているが、その女性ではない。


「なんでもその相手は王族の女性だったらしいの」

「王族!?」


 意外にもほどがあった。


「でもね、結局別の男性のことをその女性は好きになって振られて、それで互いにお前のせいだとか言いあいをして解散したのよね・・・・。当時の様子を見ていたから今も鮮明だわ・・・」

「うわぁ・・・」

「確かに理由がくだらないですね。ん?そういえば相手は誰でしたか?」

「たしか・・・『獣人国家アンケロス』の王女だったかしら?自分より強い相手を求めてきたのよ。あ、2人が振られた原因はそれよ。挑んで2人とも見事にやられていたわ」

「相手が悪すぎただけですよね」

「おいこらそこ!話を聞いていたか!」


メタドンさんの怒声により、その話はそこでおわったのであった。


なお、当時からこのエルフはギルドに勤めていたのである。年齢の話はタブーなのは当たり前である。


このエルフ自身、本当はモウカリさんに好意を持っていたのはまた別の話である。

夏祭りまであと4日

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